食の魅力、観光につなぐ モニターツアーで漁業者と交流 長崎コンベンション協会

漁業者(左端)からトラフグについて説明を聞くツアー参加者=長崎市牧島沖

 長崎国際観光コンベンション協会(長崎市)は、長崎の食の魅力を観光につなげていこうと、地元食材のおいしさの背景を知ってもらう農業、漁業体験プログラムの導入を計画している。このほど、長崎市牧島沖でモニターツアーがあり、市内の若者が養殖いかだを訪れ、漁業者と交流した。
 同協会のDMO(観光地域づくり法人)推進局は昨秋、宿泊と朝食、まち歩き観光「さるく」を組み合わせた「出島ワーフde朝活」事業を企画。4月以降は宿泊、飲食、体験それぞれの事業者を増やし「朝たび長崎」としてリニューアルする。食材を提供する生産者と触れ合うツアーも将来の選択肢のひとつ。新型コロナウイルス禍の中、マイクロツーリズムとして一次産業を組み込むことで、需要が減って打撃を受ける生産者の収入向上につなげる狙いがある。
 ツアーには学生や社会人5人が参加。漁船で牧島沖の3カ所の養殖いかだを巡った。餌やりのほか、船上で絞めたマダイを刺し身にして味わい、トラフグに触って魚の特徴や日ごろの業務について尋ねた。案内した雄昇水産の西元崇博専務(35)が、出荷前にかんきつ類ユウコウを与えることで臭みを抑えていることなどを説明。コロナで魚の需要が落ち込み、育てても出荷できずにいる現状にも触れ「売れるのを待つしかない。みなさんも魚をたくさん食べて」と呼び掛けた。
 その後、参加者は同市万屋町の飲食店で、訪れた養殖場のマダイを使った料理を堪能。「見てきた魚がいろいろな料理に姿を変えて新鮮」「漁業者がコロナで困っていることを知るきっかけになった」と感想を述べた。ツアーを初めて受け入れた昌陽水産の長野陽司社長(35)は取材に「消費者の生の声を聞けるいい企画だと思う。参加者にSNS(会員制交流サイト)などで長崎の魚の良さを広めてほしい」と話した。
 同協会は今後、農業体験を含め事業化の可能性を探っていく。担当者は「一次産業に携わっている人には日常でも観光客には非日常。食と観光をつなぐ第一歩にしたい」としている。

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