古賀稔彦さん恩師・吉村和郎氏が明かす〝愛弟子との最後〟

バルセロナ五輪で金メダルを獲得した古賀稔彦さん

全日本柔道連盟の元強化委員長で、柔道私塾「講堂学舎」時代から古賀稔彦さん(享年54)を指導してきた吉村和郎氏(69)が24日、本紙に〝愛弟子との最後〟を明かした。

この日古賀さんの死去を知った吉村氏は「病気(がん)のことは知っとった。昨年手術をしたとき、稔彦から電話がかかってきて『もう大丈夫です』と言ってたんだが…」と声を落とした。続けて「今月2日に関係者から『ヤバイ』という連絡があったので、すぐに電話しても出なくてね。3日になってようやく通じたので『どうだ?』と聞くと『体力落ちてます』と。それがあいつと話した最後だった」。

古賀さんは中学1年のときに「講堂学舎」に入門。当時、吉村氏は同学舎の指導者だった。

古賀さんは、そのころ身長160センチ、体重50キロと決して大きな体格ではなかったが、負けん気の強さだけは規格外。現役を引退したばかりの吉村氏がどんなに投げて、絞め落としても「参った」と言わなかったという。

以来、厳しい練習で古賀さんは〝平成の三四郎〟と呼ばれるまでに成長。吉村氏が柔道日本代表の男子コーチを務めていた1992年のバルセロナ五輪では、試合直前に大けがを負いながらも見事金メダルを獲得した。

柔道人生の苦楽をともにした師匠と弟子。吉村氏は「これからあいつに会ってくる」と愛弟子の眠る自宅に向かった。

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