コロナ禍、地方メディアの役割は 新聞博物館で事例報告

Zoomも活用し、全国各地の地方紙やローカルメディアの事例が報告されたイベント=日本新聞博物館

 地方紙やローカルメディアの潮流を紹介する催しが28日、横浜市中区の日本新聞博物館(ニュースパーク)で開かれた。ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」も活用し、全国各地のメディア関係者が事例を報告。新型コロナウイルス禍での役割や今後のあり方について考えた。

 北海道のオホーツク海側地域について発信する「オホーツク島」や、市民ライター育成を手掛ける「森ノオト」などのウェブメディア運営者らが、地域活動の主体としてのコロナ禍の実践を紹介。横浜市など産官学民による共創プラットフォーム「#おたがいハマ」のほか、京都新聞社と地元情報誌によるウェブメディア「ハンケイ京都新聞」、西日本新聞社の「あなたの特命取材班」が始めて全国に広がりを見せるオンデマンド調査報道など、各地の地方紙の取り組みも報告された。

 神奈川新聞社経営戦略本部部長の小野たまみ氏は「読者との対話も大事だが、ジャーナリズムを掲げる立場として社会性のある情報発信は欠かせない」と指摘。フリー編集者の仲俣暁生氏は「これまでのメディアは編集の力が強く、リーダーシップを取っていたが、市民社会が成熟し双方向のアクションが可能な時代には『弱い編集』も必要だ」と提起した。

 同博物館が主催。会場やオンラインで計約70人が参加・視聴した。

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