2021年TCRヨーロッパに向け、チーム体制が続々確定。オモラ、ジロラミらが引き続き参戦

 WTCR世界ツーリングカー・カップへのステップアップ・ラダーとしても機能する、TCR規定のリージョン選手権最高峰、TCRヨーロッパ・シリーズに参戦するチームの体制が続々とアナウンスされ、PSSレーシングはヴィクトル・ダビドフスキーに加えてフランコ・ジロラミを起用してのフル参戦プログラムを発表した。一方、ヤニック・モータースポーツにはチェコ共和国出身のヤングレーサー、ヤーヒム・ガラシュのチームメイトにスロバキア出身の実力者マット・オモラが加入。新たにジャンタール・チームのエントリー名で参戦することが決まった。

 2020年は散発的なエントリーに留まったPSSレーシングは、ダビドフスキーとジロラミのFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRが2台がそろって参戦した最終戦ハラマに続き、新シーズンに向け改めて2台体制を構築するとアナウンスした。

「ホンダとJASモータースポーツとの協力体制は引き続き強力であり、競争力があり楽しい年になることを期待している」とステートメントに記したPSSレーシングだが、当チームから2020年開幕戦ポールリカールにゲスト参戦したフランコの兄ネストールは、引き続きミュニッヒ・モータースポーツでのWTCR参戦と並行して、ふたりの“メンター”的立場としてチームをサポートする役割を担う。

 そのフランコ自身も2018年からTCRヨーロッパに挑戦するかたわら、地元アルゼンチンでも精力的に活動を続けており、2019年は国内最高峰カテゴリーのスーパーTC2000でシボレーYPFチームのYPFクルーズのシートを経験すると、続く2020年はフィアットDTAレーシングのクロノスSTC2000をドライブ。さらに同国のTOP RACE V6ではドライバーズランキング2位を獲得するなどマルチな才能を披露してきた。

 一方、今季からヒュンダイ・モータースポーツのカスタマーレーシング部門が支援するジュニア・ドライバー・プログラムの一環として、若干19歳のガラシュとともにTCRヨーロッパ参戦を決めていたヤニック・モータースポーツは、さらにもう1台のヒュンダイi30 N TCRを投入することを決定した。そのドライバーにWTCR優勝経験者のオモラを起用するとアナウンスしている。

ヴィクトル・ダビドフスキーを軸にFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRで参戦してきたPSSレーシング
2020年開幕戦ポールリカールにゲスト参戦したフランコの兄ネストールは、チームのアドバイザー的立場で関わるという

■2021年はヨコハマに代わりハンコックがタイヤを供給

 これまでは名門ターゲット・コンペティションや、BRCレーシングなど、ヒュンダイ系の強豪チームで活躍してきたオモラは、2021年に向け今度は新チームに移籍してふたたびi30のステアリングを握ることとなった。

「僕らはすでにテストを開始しており、開幕までのここ数カ月で素晴らしい状態になるよう取り組んでいる。僕自身、自分が何を欲し、何を達成したいのかをよく知っているし、今年はそれを実現できると信じているよ」と、新シーズンに向けた意気込みを語るオモラ。

「このチームは、チェコとスロバキアにまたがるバックグラウンドを持っていて、そのことを僕自身も幸せに感じている。僕の名前と新チームの名称が、スロバキアを代表してシリーズを戦うことは誇りでもあるし、その事実が僕のモチベーションを高めてくれているんだ」とオモラ。

 そんな2021年のTCRヨーロッパ・シリーズは、これまでのヨコハマタイヤに代わってハンコックがワンメイク供給を担うことも決定した。

「ハンコックのような重要なブランドが、タイヤの性能をアピールする場としてTCRヨーロッパを選んだことをとても光栄に思う」と語るのは、シリーズプロモーターを務めるパウロ・フェレイラだ。

「ハンコック製品はすでにTCR規定ツーリングカーとの高い親和性を立証しており、この技術的パートナーシップがTCRヨーロッパのコンペティションレベルをさらに引き上げると確信している」

 ハンコックはTCRシリーズでのプレゼンス拡大に注力しており、2021年はヨーロッパに加えてTCR東欧シリーズやTCRスペインの公式サプライヤーにも就任している。

名門ターゲット・コンペティションや、BRCレーシングなど、ヒュンダイ系の強豪チームで活躍してきたマット・オモラ
自身も所属したヒュンダイ・モータースポーツのジュニア・ドライバー・プログラムの一環として、若干19歳の若手を指導する立場も担う

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