大阪がやるなら私も!始まった小池都知事の「仮想敵」作り 7月に都議選

アピール合戦する小池氏と吉村氏

大阪府の吉村洋文知事(45)が29日、府内での新型コロナウイルスの感染拡大が続いている状況に「第4波に入った」として、国に対し、まん延防止等重点措置の適用を要請する考えを示した。飲食店利用時のマスク着用を義務化させる措置などで、リーダーシップを見せたい格好だが、大阪が目立てば、負けてられないとばかりに動いてきたのが小池百合子東京都知事(68)。7月に都議選を控えているとあって、第4波対策は東西の首長によって、またも混乱を招きかねない事態が予想される。

29日に発表された大阪府の新規感染者は213人。直近1週間の合計は1933人で、前週の2・2倍に急増している。

吉村氏は府庁で報道陣の取材に応じ、感染状況について「今週の感染状況を見る必要はあるが、第4波に入ったと認識している。感染拡大の速度を見ると、恐らく今週も増える。山になる可能性は高い。できるだけ大きな山にしないようにするのが重要」との認識を示した。

近日中に新型コロナ対策本部会議を開き、緊急事態宣言の前段階として地域限定で感染対策を指示できるまん延防止等重点措置を政府に要請する意向。「これまでは施設に目が行くことが多かったが、利用者にも協力をお願いしたい。まん延防止等重点措置を使うことによって、政令上の義務化ができる部分もある。キャバクラ等も含めた飲食店に入店するにあたってのマスク着用、飲食の際はマスクをする法的な義務化を定めることもできる。『まん防』が適用になればお願いしたい」と話した。

府政関係者はマスク義務化について「もう仕方のない状況ですね。マスクに効果があるのは分かっていることですから」と語ったが、吉村氏が「キャバクラ」と名指ししたことで、早くも業界からは反発の声も出ている。

吉村氏が第4波入りとマスク義務化を叫んだことで、対応が注目されるのは、要請される国もさることながら、東京の小池氏だ。緊急事態宣言の解除間際の今月半ば、それまで営業時間短縮要請に応じてこなかった外食大手「グローバルダイニング」(G社)に時短命令を出して4日間だけだが、26店舗を午後8時閉店に追い込んだ。

G社は「狙い撃ちだ。営業の自由を侵害された」として、都の理不尽さを世に問うことを主目的として計104円の損害賠償しか求めない、いわゆる“1円裁判”の訴訟に出た。

この日、都は時短命令に応じなかった4店(店名非公表)に対し、過料を科す手続きを裁判所に通知したと発表。通知は全国で初めてになり、小池氏は「法にのっとって手続きを進めてきた。判断するのは裁判所だ」と淡々と話し、都の方針に従わなかった店には断固たる構えを取っている。

小池氏の強硬姿勢に古巣の自民党関係者は「7月の都議選に向け、公明党は小池氏率いる都民ファーストの会との関係を解消し、自民党との元サヤに戻った。もう都議会与党からの転落は避けられない状況だが、それでも諦め切れないのが小池氏です。とにかく仮想敵をつくって、世論を味方につけるのは天才的で、これからが本領発揮ですよ」と話す。

コロナ第4波となれば、国や政権与党の失策として責任転嫁すると同時に、新たな都独自の対策を打ち出すのは必至。昨年は吉村氏が通天閣や太陽の塔を照らしてコロナ感染状況や緩和の目安を示した大阪モデルを導入すれば、小池氏はすぐさまレインボーブリッジをライトアップする「東京アラート」で張り合った。GoToトラベルを巡って菅首相とやり合ったのも記憶に新しい。

一体、次はどの業界や業種が狙われることになるのか。知事によるアピール合戦だけは、もうやめてもらいたいものだが…。

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