新社会人が最初にすべきお金の管理は?初めての一人暮らしでも失敗しない“FPから5つのアドバイス”

社会人になって、考えなくてはいけないのは「お金」のこと。とくに初めての一人暮らしも同時に始まる場合は、うれしさや楽しさを感じつつも、心配になることも出てきます。

お金の管理は暮らしの要。実家暮らしであれば、気にせずにすんでいた家賃や光熱費のことなど、自分で管理していかなくてはなりません。うまく管理できずお金が足りなくなってしまったら、実家に頼らざるを得ないかもしれませんが、まずは自分の力で頑張りたいですよね。

今回は、新社会人がすべきお金の管理についてお伝えします。初めての一人暮らしの人も、実家暮らしの人もまずはかかるお金について知っておきましょう。


新社会人がすべきお金のこと1:必ずかかるお金を洗い出す

一人暮らしを安心して始めるために、最初にするべきことは必ずかかるお金を洗い出すことです。たとえば、家賃、光熱費、最低限の食費や生活用品、交通費、携帯電話料金など。特別なことをしなくても必ずかかるこれらのお金は、「他のことで使い過ぎて払えない!」といったウッカリは禁物です。

家賃を滞納していると最悪の場合退去しなくてはなりませんし、水道光熱費の滞納があれば水道や電気、ガスが止まってしまいます。

必要最低限の食事、トイレットペーパーや洗剤といった生活用品は暮らしのベースです。実家にいれば当たり前にあったものが、これからは自分が用意していかなくてはならないことを、まずは意識しましょう。

そして、これらにかかるお金は毎月の収入から確保して、別のことに使わないようにしなくてはいけません。大体いくらかかるのか、およその目安をつけておきましょう。

総務省の統計によれば、一人暮らしの家計でかかるのは次のようになっています。(単身勤労世帯、~34歳の男女の支出平均)

食費 4万3,848円
水道光熱費 7,206円
生活用品費 3,630円
通信費 6,734円
交通費 1万1,070円
出典/「統計調査 家計収支編 単身世帯(2019年)」(総務省統計局)

ただし、この金額はあくまで平均です。食費は自炊を多くすれば節約する余地はあるでしょう。また、水道・電気・ガスの費用はリモートワークが多ければ増える可能性があります。リモートワークによる水道光熱費などの費用負担の対策として、1日につき300~500円程度の手当を出している企業があるので参考にして計算するといいのではないでしょうか。

このほかにも、それぞれの事情に合わせて奨学金の返済や、新聞購読料、保険料など、必ずかかるお金があればその分も加えて計算します。

新社会人がすべきお金のこと2:収入を3つに分ける

では、収入のたびに「必ずかかるお金」と、「それ以外のお金」の2つに分ければいいかと言えば、そうではありません。収入は、3つに分けて考えるようにしましょう。

1つめは、さきほどの「必ずかかるお金」です。これは暮らしのベースを作るお金ですので、他のことに使ってしまわないように分けておく必要があります。

2つめは貯蓄です。何事もなく暮らしている時には予想もできないことですが、急にケガをしたり病気をしたり、あるいは思いがけず失業してしまう可能性もあります。

もしかしたら、冷蔵庫やパソコンが壊れて新しいものを買わなくてはならなくなるかもしれません。このような突発的なトラブルに見舞われた時、役に立つのは冷静な心と十分な貯蓄です。

貯蓄は、まずは緊急予備資金として年収分を目標に貯めていきましょう。

収入の20%ずつ貯めていけば、5カ月で1カ月分、5年で1年分が貯まります。はじめのうちは、思うように貯蓄が増えていかないこともあると思いますが、まずは貯蓄の習慣を作ることが大切です。

そして3つめが、自由に使えるお金です。趣味のものを買ったり、いつもよりちょっといい食事をしたり、お小遣いとして使うお金も確保したいですね。頑張って働いて稼いだお金です。自分の楽しみのためにも使ってください。

ただし、予算を守ることを忘れずに。必ずかかるお金と貯蓄に影響を及ぼさない範囲で使う、大人の節度を守りましょう。

新社会人がすべきお金のこと3:預金口座を2つ作る

収入を3つに分けると言っても、心の中で分けるだけでうまくいく人は、なかなかいないものです。財布の中や、預金口座にお金があると、つい使ってしまうのは人情というもの。人の心はそれほど強くはないと考えて間違いはないのです。

そこで作りたいのが、貯蓄用の預金口座です。

勤務先からの給与を受け取るためには預金口座が必要ですから、社会人であればひとつは口座開設しているでしょう。給与の受け取り口座は、生活費を管理する口座にすると合理的です。

水道光熱費などの支払いをしたり、生活費を引き出したり、家賃の振込も口座からすれば記録に残って便利に使えますね。この生活費用の口座とは別に貯蓄用の口座を作ると、着実に貯めていきやすくなります。

収入があったら、そのうちの20%を目安に貯蓄用口座に移します。そして残った分を生活費とお小遣いとしてやりくりしていくと、使いすぎの心配もなくていいでしょう。わざわざお金を引き出して、別口座に入金するのも手間だという場合は、自動入金サービスを利用するのもお勧めです。

自動入金サービスとは、自分名義の預金口座から、別銀行の口座に毎月一定金額の入金ができるというもの。住信SBIネット銀行、ソニー銀行、イオン銀行などで取り扱っています。

新社会人がすべきお金のこと4:家計簿をつける

そこまで頑張っていても、本当に予定通りにできているかどうかは検証してみないとわかりません。それには、家計簿をつけて支出の予算が守られているかどうか、確認する必要があります。

家計簿は、あまり細かくつけようとすると面倒で挫折してしまいがち。1円単位の厳密さよりも、100円、1000円単位といったおよその金額の把握ができていれば大丈夫です。

要は、3つに分けたお金が、そのとおりに使われていればいいのです。

1つめの「必ずかかるお金」は、しっかり確保されて、滞りなく支払いができていたでしょうか。また、水道光熱費や携帯電話代は極端に高額になっていなかったでしょうか。

2つめの貯蓄は、予定通りできたでしょうか。

3つめのお小遣いは、有意義に使えたでしょうか。

そのようなことを振り返って、翌月に生かすために家計簿を活用します。

わざわざ家計簿ノートに記入しなくても、通帳の記録を家計簿代わりにしてもいいですね。あるいは、家計簿アプリを使うのもおススメです。自分に合った方法で、家計を見直す習慣をつけるようにしましょう。

新社会人がすべきお金のこと5:将来の希望を考える

さて、これらお金の管理は何のためにするのでしょうか。

第一には安心して暮らすためですが、それだけではなく、ぜひ将来の希望を考えてみてください。計画的に支出をコントロールし、貯蓄を増やし、まとまった資金ができたら何ができるでしょうか。

コロナが落ち着いたら旅行を楽しんだり、イベントに参加したりもいいですね。仕事に役立つスキルや資格を身につけるべく、教室に通うのもいいでしょう。留学や、大学院入学で、さらに学びを深めるのもよさそうです。

その他にも、マイホームの購入や、起業など、実現したいことを考えてみてください。

実現のためには、お金も必要です。

いざと言う時、お金のために夢を諦めることのないよう、社会人として着実なはじめの一歩を踏み出していただきたいと思います。

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