【ドラッグストア協会】OTC薬販売2分の1ルール撤廃「要指導薬緩和で自由度広がる面も」

【2021.04.02配信】日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は4月2日に定例会見を開き、先ごろ、体制省令改正案の公表とパブリックコメント募集が始まったOTC医薬品販売の2分の1ルール(営業時間の半分以上で専門家が医薬品販売を行うルール)撤廃に関して、「店舗販売業が薬剤師を雇って要指導医薬品を販売することを考えるとドラッグストア業界にとって自由度が広がる面もある」との考えも示した。JACDSは基本的には撤廃に反対の立場をとってきており、産業のマイナス影響に関して記者から質問が出たことに答えたもの。

JACDS「2分の1ルールへのパブコメ、現状は出す予定はない」

田中浩幸事務総長は、記者からOTC販売の「2分の1ルール」撤廃に関してパブコメを提出する予定を問われると、「現状では協会として意見を出す予定はない。下旬までパブコメの期間があるので、それまでに協会として“こういった声を出した方がよい”ということになれば対応する」と話した。

理由については、「今回のコンビニエンスストア業界からの要望に関しては、協会としてすでに問題点を厚生労働副大臣の山本博司氏に提出済みで、パブコメに至るまでの経緯もある。その中でそれを改めて伝える必要があるかというとそうはなっていない」とした。

ドラッグストア産業にとっての影響を問われると、「業態間の垣根が低くなる。店づくりの違いも薄くなる」と指摘した。

さらに、遠隔管理販売の動向に関連して、ドラッグストアにとって経営効率化につながる部分もあるのではないかとの指摘に対しては、「われわれはリアル拠点で対面の販売を重視していることに変わりはない。仮にルールで可能になったとしても、それを活用するかどうかは別の問題」とした。

ただし、「オンラインか対面かのどちらかではない」とも話し、対面を重視しながらもオンライン活用の方途については検討を重ねている現状をうかがわせた。

加盟社の中には否定的な意見ばかりではないのではないかとの問いに関しては、「物理的に可能だということになればその意見を否定はしない。しかし、生活者にそれが求められているのかどうかではないか」と指摘した。「要指導薬の販売について最高裁がなぜ対面を支持したのか。われわれが業界のエゴを伝えて認められる時代ではないと思っている」と話した。

田中事務総長が「業界への影響はマイナスもあればプラスもあるのではないか」と話すと、それに付け加える形で専務理事の中澤一隆氏が発言。2分の1ルール撤廃に関連して、要指導医薬品の販売に関しては、ドラッグストア産業にとって自由度の拡大につながる可能性もあるとの考えを示した。

「現状は例えば店舗販売業で要指導薬を販売しようとすると、営業時間の半分以上、薬剤師が販売しなければいけないとなっていたが、これも今回の緩和で撤廃される。コンビニエンスストアは薬剤師を雇って要指導医薬品を販売するところまでは考えていなかったと思う。この部分はドラッグストア産業にとってプラスの面もある」(中澤専務理事)

根津孝一副会長は「交渉を続けている面もあり、現時点で統一見解を公表するのは難しい面がある。言えることは、守るべきは薬剤師、登録販売者であり、そのためにどうするかということだ」と話した。

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