“コロナ予言作家” 高嶋哲夫氏が提言 再来する巨大災害「生存への道は岡山遷都」

気分転換にもってこいの見晴らしのいいベランダでたたずむ高嶋氏

小説家・高嶋哲夫氏(71)は映画「ミッドナイト・イーグル」やTBSドラマ「都庁爆破!」の原作者として知られる。また「首都感染」「首都崩壊」「福島第二原発の奇跡」など多くの自然災害に関連した小説を世に放ち、2月には岡山への首都移転をつづった新著「首都岡山―新しい日本の形―」を上梓した。そんな高嶋氏が、来たるべき巨大災害に警鐘を鳴らすとともに災害に向き合う心がけを説いた。

【小説家・高嶋哲夫氏インタビュー(後編)】

――自助共助公助といわれている

高嶋 自助にデジタルをどう結び付けていくか。災害が起きたら家族の安否が一番気になる。これを何とかしないといけないんだけど、コンビニの配送システムなんかと協力すれば、そんなにお金をかけることなくシステム構築できると思う。コロナで台湾のオードリー・タンさんが、マスクの在庫が分かるアプリを作ってほめられてたけど、そんなに難しいシステムじゃないと思うし、金もそんなにかからないはず。ネックになるのは個人情報の扱い。今のうちに法整備をしとかないと安否確認もできない。国は必要のないことにジャブジャブ金を使ってないで、こういう問題にしっかり取り組まないと。

――現実問題として巨大地震は刻一刻と迫っている

高嶋 南海トラフと首都直下のどちらが起きても太平洋側はダメになる。生き残った日本海側から、いつでも救援物資を送れるように物とルートの準備が必要なんです。でも、いくら地方再生といっても地方には金も人もいないから、その能力がない。今の日本の47都道府県は江戸・明治からの継承にすぎなくて、形として古すぎるんですよ。

――解決策は
高嶋 道州制です。今回のコロナみたいに東京の指令で一斉に動くんじゃなくて、経済規模を大きくすることで、その地方にあった一番いい生活の仕方を考えていく。もっと日本が大きくなれる可能性も生まれると思う。「首都崩壊」も日本の根本的な弱点を直した方が早いという観点から書いたんですよ。大地震という巨大災害を経験し、何もかもが東京に集まっているのはあまりにも危険だから首都移転の必要性を書いた。その候補地は、まとまった土地の広さがあり、自然災害リスクの低いところがいい。岩盤が安定し、雨も少ない、交通も整っている岡山がいいという考えなんです。

――「首都岡山」を出版

高嶋 いろんなところで公演をしていて、毎回一からしゃべるのが面倒くさくなっちゃってね(笑い)。実際にそれはあるんだけど、コロナでオンラインとか情報面が一気に進んで、何で首都移転が必要なのかっていうことを改めてまとめ直す必要があった。現実に合わせて「首都崩壊」から抜粋しながら補完したって感じかな。

――今後の著書の予定は

高嶋 2030~35年あたりの世界の電気自動車の話を書いてます。欧米、中国の狭間で日本の自動車産業がどうなっていくか。本当は昨年に出す予定だったんだけど、コロナが起きて、そっちの話題もやってたからね。夏くらいには発売されると思うんで皆さんお楽しみに。

――今後の夢は

高嶋 海外でも何冊か出版してるんですよ。だから、どの作品でもいいから映画で世界デビューしたいですね。

☆たかしま・てつお 1949年7月7日生まれ。岡山県玉野市出身。慶應義塾大学工学部卒。同大学院修士課程修了。日本原子力研究所研究員を経て、米カリフォルニア大ロサンゼルス校に留学。81年に帰国し、学習塾を経営するかたわら執筆業を開始。「メルトダウン」(94年)で第1回小説現代推理新人賞、「イントゥルーダー」(99年)で第16回サントリーミステリー大賞など、受賞多数。2010年発表の「首都感染」がコロナ禍の現状と酷似しているとして〝予言の書〟と話題になった。

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