全国大会でもリーグ戦方式を採用 ポニーが唱える「野球は試合に出て覚えよう」

第5回全日本選抜中学硬式野球大会の開会式の様子【写真提供:日本ポニーベースボール協会】

3月開催「全日本選抜中学硬式野球大会」では筑後リバーズが優勝

日本ポニーベースボール協会(ポニーリーグ)が主催する中学2~3年生の全国大会「日本旅行カップ 第5回 全日本選抜中学硬式野球大会」が3月27~29日、沖縄県で開催された。独自の投球限度など子どもの健康を第一に考えた施策や「野球は試合に出て覚えよう」というポニーリーグの理念が随所に反映された大会となった。

昨年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、全国規模の大会は軒並み中止となった。その中でも実施できた大会の経験を生かし、今大会は全選手、スタッフに抗原検査を義務付けるなど万全な対策の下で開催。全国から集まった15チームは3日間にわたり、予選ブロック、準決勝ブロック、交流戦ブロックのリーグ戦で懸命に白球を追い、決勝戦は筑後リバーズが優勝を飾り、幕を閉じた。

今大会で特徴的だったのが、開催形式だ。一発勝負のトーナメント方式ではなく、負けても戦うチャンスが訪れるリーグ戦方式を採用。準決勝ブロックに勝ち進めなかったチームにも交流戦ブロックを用意し、予選ブロックでの成績に関わらず、全チームが少なくとも4試合を戦える工夫がなされた。

リーグ戦方式の採用は、ポニーリーグの「野球は試合に出て覚えよう」という理念が反映されたもの。出場機会を重要視するポニーリーグでは、地方大会も含め、多くの大会でリーグ戦方式を採用している。トーナメント方式では勝利が優先され、指導者の采配に偏りが生まれてしまうため、大会を主催するポニーリーグがリーグ戦方式を採り入れ、舞台を整えた。その結果、今大会でも全ての登録選手に出場機会が与えられたという。

肩・肘検診を行う慶友整形外科病院の古島弘三医師(右)【写真提供:日本ポニーベースボール協会】

障害予防の取り組みに成果、肩・肘検診では新規故障は発見されず

子どもたちを故障から守り、将来大きく羽ばたけるようにサポートすることを目的にした「SUPER PONY ACTION パート1」は今大会でも実施された。1試合の投球数は75球まで、1日50球以上投球を行った場合は翌日の投球禁止、同日の連投及び投手捕手兼任は禁止、といった投球限度を適用。ポニーリーグでは試合中の投球数制限のみならず、練習時の投球数にも目安を設け、練習過多による障害を予防しようと努めている。

会場では、協会の常務理事CMO(最高医療責任者)でもある慶友整形外科病院の古島弘三医師による肩・肘検診も実施され、80人ほどの選手が受診した。エコー検査では小学生の時に痛めた古傷も確認できるが、今回の検診では古傷を持つ選手には改善が見られた他、新たな故障が見つかった選手はいなかったという。2019年12月から本格的に取り組む障害予防の成果が確認された形だ。

「SUPER PONY ACTION パート1」では、その他にも怒声・罵声の伴う指導や応援に対してイエローカードを掲出したり、子どもの副流煙による影響を避けるために喫煙場所を確立したりするなど、保護者・指導者の意識向上を求める施策もある。今大会ではイエローカードが掲出されることはなく、喫煙マナーもきっちり守られるなど各施策が定着。子どもを第一に考える環境が整いつつあることを実感したという那須勇元事務総長は、「結果として子供たちが順調に育ってきてくれていると思っている」と大会の手応えを口にした。

次回予定される全国規模の大会は、7月の「全日本選手権大会」となる。ポニーリーグの理念が各地でさらに浸透し、子どもたちが怪我なく伸び伸びとプレーする姿を期待したい。

【画像】第5回全日本選抜中学硬式野球大会 出場チーム・結果一覧(提供:日本ポニーベースボール協会)

【画像】第5回全日本選抜中学硬式野球大会 出場チーム・結果一覧(提供:日本ポニーベースボール協会) signature

(Full-Count編集部)

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