映画「stay」主演・山科圭太インタビュー 「微妙なやりとりの中で生み出されるドラマ」

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SKIPシティ国際Dシネマ映画祭の短編部門で優秀作品賞を受賞した映画「stay」が、4月23日に劇場公開される。公開を前に、主演の山科圭太のオフィシャルインタビューが公開された。

「stay」は、山奥にたたずむ一軒の古民家は誰でも出入りができて誰の場所でもない「自由」な家を舞台に、わずかなズレが、気遣いとなり、役割となり、ストレスとなり、やがて「不自由」へとつながっていく様子を描き、「人と共に生きる」ことの意味を問う作品となっている。監督を務めるのは、初劇場公開作となる藤田直哉。脚本は、山本政志監督作「脳天パラダイス」を手掛けた金子鈴幸が担当している。東京国際映画祭正式出品作「あの日々の話」の山科圭太が主演し、「猿楽町で会いましょう」に主演している石川瑠華も出演している。

家の人々に立ち退きを迫りながら、いつの間にかその家に引き込まれて行く主人公を演じている山科は、脚本を読んだ時の感想、演じた役、共演者などを語っている。

【インタビュー】

Q. ご自身の役を、どのように捉えましたか?

結構自分と通じる部分も多くて、与えられた仕事で皆さんに「出て行って」ということは言いづらいことではあるんですけれど、それを映画内の矢島は控え目に言って、周りに振り回されていくというのはすごく共感しました。

Q.石川瑠華さん、菟田高城さん、遠藤祐美さんとの共演はいかがでしたか?

石川さんは非常に掴めない、何を考えているんだろうなというところがある、魅力的な女優さんだと思います。映画の中では、比較的コミュニケーションが取りやすいという役柄ではあったんですけれど、独特な空気感を漂わせている方で、どう反応するのかなという楽しみがあって、おもしろかったです。

菟田さんは本当に力強い方で、繊細なんですけれど、ぐいぐい現場を引っ張っていくような、とても頼りになる方です。本当に役に近いような印象もあって、愛嬌のある感じで、一緒にいて落ち着く感じもありました。

遠藤さんは凛とした佇まいの方で、独特なリズムを持っています。ご本人は役よりはほんわかした感じでした。非常に演技が上手で、映画の中で二人が話すシーンは切実に訴えかけてくるような感覚があって、印象的でした。

Q. 撮影時のエピソードはありますか?

合宿だったので、みんなで風呂に入ったり、滞在者役の二人が劇中でやっているごきぶりポーカーをみんなで夜中に集まってやったりして、そういう時間でコミュニケーションもとれたことが撮影にも少なからず影響していると思います。

Q. SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020の短編部門で優秀作品賞を受賞したと聞いて、どう思われましたか?

嬉しかったです。この映画って分かりやすい映画ではないので、こういう映画に反応してくれて、評価してくれる方がいるというのがとても感動的でした。

Q.本作で特に注目してもらいたい部分はありますか?

家と俳優を割と同等に撮っているというか、人物をどかんと真ん中に収めるということはなく、余白が非常にあります。基本的には俳優を観てしまうものだと思うんですけれど、画全体、画面を見つめるということをしていただくといいなと思います。

Q.読者の方にメッセージをお願いします。

今ある映画って、わかりやすいアクシデントや悲劇が起こったりするものが多い中で、この映画はそうではないので、「こういう映画もあって、静かでも見せられるものがある」っていうことを知ってほしいです。題材は普遍的な「人と人が暮らす」というシンプルなものですが、「昔からあるであろうテーマを現代に置き換えるとこうなる」というところで、派手なことは起こりませんが、「微妙なやりとりの中で生み出されるドラマもある」というところにも注目して観ていただきたいと思います。

【作品情報】
stay
2021年4月23日(金)よりアップリンク渋谷ほかにて公開
配給:アルミード
©東京藝術大学大学院映像研究科

© 合同会社シングルライン