藤井フミヤ、全国ツアーを折返す! 中野サンプラザ公演で「涙のリクエスト」「ギザギザハートの子守唄」などチェッカーズ曲を大放出!

藤井フミヤの全国ツアー東京公演が4月10日(土)と11日(日)に中野サンプラザで開催された。2時間超に渡って静かで熱いパフォーマンスを繰り広げ、ソーシャル・ディスタンス(1席おき)の客席を沸かせた。

昨年11月からスタートした藤井フミヤの全国ツアー『ACTION』は、本来なら3月28日の福岡公演をもって終了する予定であったが、新型ウィルス感染症拡大の中、公演は次々に延期。結果的にこの日の中野サンプラザ公演がツアーの折返しとなった。

開演前、場内に流されたのはツアータイトルに因んだ洋楽ロック曲。THE WHOの「Let's see Action」が終わるとステージが明るくなり、フミヤの第一声

「さぁ! 始めようか? バンド、スタンバイ! ACTION!!」

で幕を開ける。

前半は最新アルバム『フジイロック』収録曲「BET」を始めとするファンク、ディスコ・ビート、デジタル・ロックなど、鉄壁のリズム隊を生かしたアーシィかつ渋いロック・ナンバーを聴かせ、客席をゆっくりと温めていく。

1席おきの客席、マスク着用、声をあげてはいけない。様々な制約がある中でのコンサート開催には、舞台に立つパフォーマーにとっても戸惑いはある。しかし、そんな状況の中でも足を運んでくれたお客さんに対して、楽しんでもらいたいという想いを込め、

「ここで皆さんをタイムマシンにお乗せしましょう! 今から38年ぐらい前に戻します!」

と演奏したのは「星屑のステージ」。チェッカーズが1984年8月にリリースした4枚めのシングルだ。続く「ジュリアに傷心」は5枚目のシングル曲。初期のチェッカーズ・ナンバーの披露にオーディエンスは大興奮。といっても声を出せないから、ツアー・グッズの発光式ブレスレットを掲げて応える。客席に一斉に色とりどりの明かりが灯る様は壮観だ。

お客さんがこれほど喜ぶのは無理もない。これまで、フミヤのソロ・コンサートで演奏されたチェッカーズ時代の曲はいずれもメンバーが書いたオリジナル曲。売野雅勇が作詞、芹澤廣明が作曲を手掛けたチェッカーズの最初期のナンバーは披露されることがなかったからだ。このコーナーでは他に「I Love you, SAYONARA」も演奏されたが、いずれも藤井尚之のサックスをフィーチャーした曲が並ぶ。このツアーでチェッカーズ曲を披露するに当たって急遽、実弟である藤井尚之をバンドメンバーに呼び寄せたそう。

「やっぱり『ジュリアに傷心』辺りは尚之じゃないとね」

と話すと客席も大きく同意。まさにみんなが聴きたかったのがこれだ。

この日のコンサートは曲調によって各パートを構成。バラード・パートではチェッカーズのセカンド・アルバム(1984)に収められた「ティーンネイジ・ドリーマー」を選曲。久しぶりに歌う初期の曲ということもあり、

「若い頃の歌なので、若い人の気持ちになって聴いてほしい」

と恥ずかしそうに紹介。さらに「

皆さん、薄目で見ていただければ、若いフミヤ君に戻ってると思うんで(笑)」

と話し場内を沸かせる。美しいバラードを朗々と歌い上げ、エンディング・パートでは尚之の弾くアコースティック・ギターとフミヤの吹くブルース・ハープの共演でしっとりと締める。

ラストのコーナーはロックン・ロール・パート。本当は大いに盛り上がるコーナーではあるが、そうもいかない。客席の前後左右が空いた贅沢な空間を生かし、

「身体は動かしてもいいよ!」

と声をかけ「WE ARE ミーハー」や「NANA」といったロックン・ロールチューンを叩き込む。極めつけがチェッカーズのデビュー曲「ギザギザハートの子守唄」(1983年)。38年前に一気にタイムスリップされ、オーディエンスも身体を動かすことで発散。場内は静かな熱狂に包まれ、本編は終了。

アンコールは声ではなくオーディエンスのクラッピングで求められる。今の時代ならではの静かなアンコール・スタイルに

「このあとにメインのスターが出てくる、前座のような感じだね」

とフミヤも苦笑い。先日、取材を受けたとき、「TRUE LOVE」(1993年)の頃にも生まれてなかったインタビュアーに「ダイヤル廻す」ってどういう意味ですか? と尋ねられ驚いたという。

「ドーナツ盤がCDになって、CDが配信になっても、俺たちがやってることはほとんど変わっていない。あの頃から変わりない君たちへ! 変わらない俺の気持ちを受け取ってくれ!」

とアカペラで歌い始めたのはチェッカーズのセカンド・シングル「涙のリクエスト」。長い間、これを待っていたんだよ! と客席は、大爆発させたい想いを発光ブレスレットを大きく掲げ廻して大応戦。気がつけば2時間を超える中、セットリストの半分近くはバンド時代の楽曲というチェッカーズ大放出のコンサートに。しかも初期ヒット曲が4曲も披露され、ファン感涙&興奮の一夜となった。

藤井フミヤのコンサート・ツアー『ACTION』前半はこの日の東京公演で終了。後半は4月29日にスタートし、7月10日のパシフィコ横浜 国立大ホールまで続く。各公演のチケットの詳細は藤井フミヤのオフィシャルサイトを参照していただきたい。

FUMIYA FUJII CONCERT TOUR 2020-2021 ACTION / 4月11日(日)@東京・中野サンプラザ 主な演奏曲

☆ソロ・ナンバー:TRUE LOVE / エンジェル / ALIVE / WE ARE ミーハー 他

☆チェッカーズ・ナンバー:ギザギザハートの子守唄 / 涙のリクエスト / 星屑のステージ / ジュリアに傷心 / I Love you,SAYONARA / NANA 他

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