諫干請求異議差し戻し審 和解協議開始求め 漁業者側が上申書

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門確定判決を巡り、開門を強制しないよう国が漁業者に求めた請求異議訴訟差し戻し審で、漁業者側弁護団は早期の和解協議の開始を求める5回目の上申書を福岡高裁に提出した。13日付。
 上申書には、佐賀県議会が昨年12月に全会一致で可決し、関係者による話し合いの場の設置や水産資源回復のための開門調査などを政府、国会に要望した「有明海の早期再生を求める意見書」などを添付。「裁判所が考え得る方策をすべて実施して、本件紛争を最終的解決へと導くことを国民は期待している」と指摘した。
 漁業者らの裁判を支援する市民団体は17日、佐賀市内で学習会を開き、弁護団の堀良一事務局長が差し戻し審での主張などを報告。潮受け堤防閉め切りによる漁業被害を訴える佐賀県太良町の漁業、平方宣清さん(68)は「有明海の豊かさを残すことが、ここで生活してきた私たちの務めだ」と述べ、改めて早期開門を求めた。
 同弁護団によると、同高裁は28日の口頭弁論で、今後の進行方針を示す考えを明らかにしている。

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