Vリーグ男子 大村工高出身・大宅真樹(サントリー) インタビュー 目指すは五輪代表入り

「長崎バレーボールフェスタ2019」で子どもたちの練習を見守る大宅

 今月上旬、バレーボール・Vリーグ1部男子で14季ぶり8度目の優勝を果たしたサントリー。3年目のセッター大宅真樹(大村工高出身)は今季から主将を務め、正確なトスや強力なジャンプサーブで貢献した。日本代表に名を連ねる25歳に、シーズンの回想や東京五輪への思いを聞いた。

 -初のベスト6にも選ばれた。率直な感想を。
 みんなが支えてくれた。本当に優秀なスパイカーばかり。パスを返してくれる選手だったり、みんなに感謝したい。昨季3位で終わってしまって、すごく悔しい思いをした。優勝するためにやってきたので、優勝した瞬間はほっとした。

 -主将就任1年目を振り返って。
 山村宏太監督から「成長するために選んだ」と聞いて、期待に応えたいと思ってやってきた。あまり引っ張ることをしなくても、チームが優勝に向かって一つになっていた。個人的に少しだけど、人を見る目が成長できたかなと感じる。結果が出て、監督から「本当におまえは成長したよ」という言葉もいただけた。

 -特に意識した点は。
 バレーボールを楽しむこと。2年間できていなかったので、試合で硬くなったり、自分のせいで負けたらどうしようとかネガティブな方に考えていた。チームの雰囲気をよくするため、一番大事にしたのは笑顔を忘れないこと。試合中は特に。決勝でも体現できたのでよかった。勝っても負けても、楽しまないと後悔すると決めて頑張った。

 -チーム内に感染者が出て、練習自粛期間があるなど難しさもあった。
 長い間、ボールに触れないのは初めてだった。ほぼ隔離状態で外出も、チームメートに会うこともできなかった。当たり前が奪われた。活動再開時、会話一つや、バレーボールに触れること自体に、小さな幸せを感じた。スポーツ選手として活動する上で、根本を思い出させてくれた期間になった。

 -年明けから21連勝した要因は。
 バレーに対する貪欲さがチーム全体にあった。コート上で暗い雰囲気にならなかった。去年は1セット取られたり、連続失点した時、みんな目が合わないというか、会話が少なくなることが多かった。今年はまったくなかった。誰かが声を掛けるし、負けていても、本当に負けているのかという雰囲気でやれた。

 -セッターとして成長を実感した点は。
 一つのミスにマイナスなイメージを持たなくなった。僕自身はポジティブをスローガンに掲げていた。昨季はサーブ1本ミスったら、トスに影響が出たり、気持ちのぶれがすごく大きかった。今季は僕だけのミスで負けることはないし、助け合って、チームで勝てばいいやって気持ちが持てるようになった。僕だけで勝てるわけでもないし、僕だけで負けることもない。一つのミスに執着せず、次こうしようと切り替える速さができた。

 -日本代表合宿も参加した。東京五輪へ向けての思いを。
 五輪が1年延期になって、さらにアピールする時間ができた。僕にとってはプラスになったけど、まだまだ代表で試合をやれるレベルじゃない。少ない可能性をつかんでいきたい。

 -代表コーチから教えてもらった収穫は。
 思い返してみると、トスの精度が少し上がった。本当に少しだけど、周りを見てトスを上げるというのができた。相手ブロッカーを視野に入れたり、スパイカーがどのタイミングで入っているのかを確認するため、ボールの下にまず速く入るというのは、ずっと言われていた。余裕がある時間をつくってから、いろんなことを考えられた。コーチに感謝している。

 -五輪を目指す上で課題は。
 周りからは「五輪いける」という雰囲気になっている。それを僕が一番分かっていない。「何を見てそう言っているの」と思っちゃうところがある。そういう意味で、自分に自信を持つことが課題の一つ。自信がないとアピールもできない。

 -大村工OBの朝長孝介さんも、セッターとして五輪に出ている。
 大村工と言ったら、まだ朝長さんの名前が出る。そこを抜きたいという気持ちはある。朝長先生からも1年教わったけど、まだコーチに入ってすぐで、あまり話せなかった。もう少し長く教わりたかった気持ちもある。追いつけ追い越せで、やっていきたい。

 -優勝は恩師の伊藤孝浩先生にも報告したか。
 電話で報告した。高校時代から厳しい先生が、すごく喜んでくれて、何回もおめでとうって言ってくれた。「応援してくれているんだな」という気持ちになり、すごくうれしかった。

 -地元のファンへメッセージを。
 高校まで長崎で育った。帰省時もいろんな人から頑張ってねっていう言葉をいただく。本当に温かい地元だと思っている。五輪代表に入るのが直近の目標。そこをつかみ取って、いい報告ができればなと思う。


 【略歴】おおや・まさき 佐世保市立黒髪小1年からバレーボールを始める。日宇中3年時、JOC全国都道府県対抗中学大会の県選抜メンバー入り。大村工高2年時のインターハイはリベロで準優勝に貢献。3年時はセッターとして活躍した。ユース、ジュニア日本代表に名を連ね、東亜大4年のアジアU-23選手権でベストセッター賞に輝いた。日本代表に初選出された2018年からサントリーに所属。19年にプロ転向、20年に主将就任。177センチ。佐世保市出身。


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