ここまで驚異の4戦4勝 阪神の快進撃支えるガンケル、昨季との“変化”は?

阪神のジョー・ガンケル【写真:荒川祐史】

ここまで4試合に先発して全勝、防御率1.09のガンケル

阪神が好調だ。18日に本拠地・甲子園球場で行われたヤクルト戦に勝利し、5年ぶりの7連勝。今季19試合を終えた段階で15勝4敗の貯金11とし、巨人に3ゲーム差をつけて首位に立っている。

スタートダッシュに成功した阪神は現在チーム打率.262、チーム防御率2.21がいずれも12球団で1位。投打の歯車がしっかりと噛み合っている。課題だった打線が活発なのはもちろん、チームの武器であった投手陣が変わらず奮闘。特に西勇輝、青柳晃洋、秋山拓巳、藤浪晋太郎、ジョー・ガンケルと規定投球回に到達している5人が全員、防御率1点台と先発陣が素晴らしい働きを見せている。

この先発陣でも一際、光っているのが2年目を迎えた助っ人のガンケルだ。ここまで4試合に先発して4戦全勝。先発した全ての試合で6回以上自責点3以下のクオリティスタート(QS)を達成しており、防御率は1.09。安定感はチームでも随一となっている。

昨季は28試合に登板して防御率3.18と際立つ成績ではなかったが…

昨季は28試合に登板し、先発は6試合だけ。主に中継ぎで起用され、2勝4敗11ホールド、防御率3.18と際立つ存在ではなかったガンケル。今季はチェン・ウェイン投手、ラウル・アルカンタラ投手が新たに加入し、シーズン前の展望では開幕1軍入りの当落線上になるのでは、とも予想されていた。

新型コロナウイルスの感染拡大により、アルカンタラの来日が大幅に遅れ、チェンもキャンプ、オープン戦で結果を残せずにローテ争いから脱落。開幕ローテ入りを掴んだガンケルは負け知らずのまま、連勝街道を突き進んでいる。

好投を続けているガンケルだが、昨季との違いはどこにあるのか。もちろん2年目ということで環境への適応、日本の野球に適応してきているところもあるだろう。それとは別に、データの面からも右腕の変化を紐解いてみたい。

セイバーメトリクスの指標を用い分析などを行う株式会社DELTAのデータを基に、昨季と今季のガンケルのデータを見ると、ある変化が見て取れる。

昨季から大幅に向上している「F-Strike%」と「Zone%」

球種の配分や球速帯にはさほど変化は見られないが、大きな変化が見て取れるのは初球のストライク率を示す「F-Strike%」。昨季は「45.7%」と50%を切っていたが、今季は「54.7%」に上昇。セ・リーグでは5位の高さになっている。

また、ストライクゾーン内に投球された割合を示す「Zone%」は昨季の「44.0%」から「49.2%」に上昇。この「49.2%」はセ・リーグでは広島のエース・大瀬良大地投手に次ぐ2位の数字となる。今季は昨季と比べてストライク先行の有利なカウントで投球を進め、ゾーン内で勝負ができていることが伺える。

また、打球の比率を見ると、昨季は「26.7%」だったフライ割合「FB%」が「37.7%」に上昇。一方でライナー割合「LD%」が「13.1%」から「5.8%」に、ゴロ割合も「60.2%」から「56.5%」に減少している。

2年目を迎えて投球に変化が見えるガンケル。好調な阪神を支える右腕は、この先も快進撃を続けることはできるだろうか。(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。

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