長崎市立図書館が「電子図書館」導入 自宅や外出先で読書を

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電子図書館で表示した夏目漱石の「坊ちゃん」(奥)と「デジタル伊能図」(手前)。自宅や外出先で閲覧できる=長崎市立図書館

 長崎市立図書館(興善町)は昨年度、1日当たりの入館者が前年の約8割にとどまった。新型コロナウイルス流行の影響で利用が控えられたとみられ、訪れた人の滞在時間が短くなったことを示すデータもある。そんな中で同館は今月、パソコンやスマートフォンを使って自宅や外出先で読書を楽しめる「電子図書館」サービスを始めた。
 電子図書館は同市内に住んでいるか通勤・通学をしている人が対象。同館ホームページで図書貸出券の利用者IDとパスワードを登録すると、電子書籍を1回に2冊まで24時間いつでも無料で借りられる。県内自治体では西彼長与町に続き2例目のサービス。
 現在は著作権の保護期間を過ぎた作品を中心に、夏目漱石や芥川龍之介らの文学作品、児童書、実用書など約7500点を公開。文章の読み上げ機能も備えている。市は「話題の受賞作品など商用の電子書籍も新たに購入し、充実させていきたい」とする。
 電子図書館を導入する背景の一つに、新型コロナ禍で入館者が落ち込んでいる現状がある。同館が集計した昨年4~12月の入館者は1日平均2354人で、新型コロナ流行前の前年同期と比べると83.3%に減った。また同館駐車場の利用データを見ると、30分以内に出庫する車はコロナ禍前に75~77%前後で推移していたが、昨年は82%に上昇。同館は「人との接触を避け、滞在を短時間にしているのでは」と分析する。
 電子図書館は今月14日に開設し、20日までの1週間に356点を貸し出した。このうち4割近い134点は市立図書館が閉まっている午後8時~午前10時の時間帯に利用されており、同館は利便性向上にも一役買っているとみる。
 現在公開している電子書籍の中で、同館の内山武司係長のお薦めは「デジタル伊能図」(河出書房新社)。江戸時代に伊能忠敬が制作した日本地図が、現代の地図と重ね合わせて表示される資料で、これまで同館のパソコンでしか閲覧できなかった。内山さんは「スマートフォンなどを使えば現場で伊能図を見ながら当時の町並みを感じられる。まち歩きに活用してもらえれば」と話す。