米アカデミー賞 社会情勢反映し米紙が黒人やアジア系候補を本命視

オスカーの行方は…(ロイター)

25日に迫った第93回アカデミー賞を前に、米紙ニューヨーク・タイムズの映画評論家がオスカーの行方を占った。

コロナ禍の1年となった2020年で〝最高の一本〟に贈られる作品賞には鬼才デヴィッド・フィンチャー監督の「Mank/マンク」や、1960年代米国の〝黒人救世主〟を描いた「ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア」など話題作8本がノミネート。

その中で同紙のカイル・ブキャナン氏が予想した受賞作は大本命と目される「ノマドランド」。中国・北京出身の女性監督クロエ・ジャオ(39)が米国の車上生活者たちを描いた作品だ。

本作はゴールデングローブ賞(ドラマ作品賞と監督賞)をはじめ、全米監督協会賞など米国内の映画賞を総なめ。またベネチア国際映画祭でも最高賞を受賞している。

同氏が監督賞に選んだのも「ノマランド」のジャオ監督だ。他には韓国系移民の一家が繰り広げるドラマを題材にした「ミナリ」の韓国系米国人リー・アイザック・チョン監督や、「Mank/マンク」のフィンチャー監督ら5人がノミネートされている。

同氏が予想した最優秀男優賞の受賞者は、昨年8月、がんにより43歳の若さで亡くなったチャドウィック・ボーズマン。1927年シカゴを舞台に、伝説的黒人女性歌手のレコーディングをきっかけに展開する数奇な物語を描いた「マ・レイニーのブラックボトム」で、ボーズマンはバックバンドのトランぺッターを演じた。

最優秀女優賞には同作で歌手マ・レイニー役を務めたヴィオラ・デイヴィス(55)を予想。助演男優賞に「ジューダス・――」のダニエル・カルーヤ(32)、助演女優賞には「ミナリ」の韓国人女優ユン・ヨジョン(73)を挙げた。

BLM(黒人の命も大切)運動やアジア人差別への抗議活動が広がる米国社会を反映し、今年のアカデミー賞は黒人俳優らのノミネートが顕著で、アジア系候補も含まれている。注目の授賞式はロサンゼルスで日本時間26日午前始まる。

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