能生白山神社春季大祭 2年ぶり舞楽奉納 コロナ対策徹底、伝統継承を重視

 新型コロナウイルスの影響で各地の春祭り、春の催しが中止、延期になる中、能生白山神社(糸魚川市能生、佐藤英尊宮司)の春季大祭・舞楽奉納が24日昼から夕刻にかけて、2年ぶりに行われた。獅子舞に続き美しい稚児舞など全11曲が演じられ、訪れた地区住民、見物客らを魅了。悠然と舞う「陵王」で締めくくった。

衣装やしぐさが美しい稚児舞「候礼」
夕日を浴びながら舞う「陵王」

 同神社の舞楽は、糸魚川・天津神社の舞楽とともに国重要無形民俗文化財に指定されている。15世紀に大阪・四天王寺から伝承したとされ、11曲のうち8曲は稚児舞が占める。

 春季大祭は昨年、新型コロナウイルスの全国的な感染拡大のため初めて中止に。「今後に継承するために必要」と同年9月20日、境内の特設舞台で秋の舞楽発表会を催し、昨季の成果披露の場にした。

 伝統継承を重視し、今春は感染対策を徹底した上で、舞楽のみ執り行うと決定。神輿(みこし)のお走りなどは中止した。出入り口を3カ所に限定し、マスク着用、検温、住所氏名の記入を実施。混雑回避のため能生ケーブルネットが協力、地域住民に向けて生中継された。

 孫を連れ訪れた同市能生の女性(65)は「桟敷席がないなど雰囲気は寂しい。でも天気に恵まれて良かった。早くコロナが終息してほしい」と願っていた。

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