宿泊施設に明暗 長崎県内GW ホテル利用キャンセル相次ぐもグランピングは堅調 県民限定宿泊割引23日から停止

人が触れる場所を入念に消毒し、受け入れ準備をするキャンプ場。その後、県が一時閉鎖を決めた=長崎市、ながさき県民の森

 新型コロナウイルス感染の再拡大で、長崎県内の宿泊施設は昨年に続き、厳しい大型連休を迎えそうだ。県民限定の宿泊割引キャンペーン「ふるさとで“心呼吸”の旅」が23日から停止し、予約のキャンセルが相次いでいる。公営キャンプ場は一時閉鎖し予約分を断る事態に。一方、民間のグランピング宿泊施設は予約で埋まっており、明暗が分かれている。
 「キャンペーンで大型連休に宿泊が増えると思っていた。残念」。県旅館ホテル生活衛生同業組合の塚島宏明専務理事は肩を落とす。県外客が激減している中、県民割引は起爆剤になるはずだった。だが、停止に伴うキャンセル数は1万3702人分(26日時点、同組合まとめ)。塚島氏が副社長を務める長崎スカイホテルチェーンの長崎市内3ホテルも、大型連休中は県内客でほぼ満室だったが一転、ほとんどなくなった。
 客のキャンセル料金は県が負担する。だが客はいったん施設側に同料金を支払い、領収証を受け取って、県に証明する必要がある。その料金請求や領収証発行は施設側が担う。「作業が煩雑で負担が掛かる。事業者の支援策のはずなのに、支援になっていない」と塚島氏は不満を口にする。
 ながさき県民の森(同市神浦北大中尾町)のキャンプ場は5月1~4日、バンガローやテントサイトに計約200件の予約が入っていた。最近まで問い合わせが続く人気ぶり。ドアノブや水回りを入念に消毒し、利用者を迎える準備をしていた。
 ところが所有者の県は24日、「トイレなど共用設備で他のグループと接触の機会がある」として25日~来月15日、キャンプ場の閉鎖を決定。担当者は「感染を防ぐには仕方がない」と言い、予約客に連絡するなど対応に追われた。
 一方、民間のグランピング施設は感染対策を徹底して客を受け入れる。長崎あぐりの丘高原ホテル内の「グランピングリゾート グランゾ」(同市四杖町)は29日~来月5日、6棟あるドーム型テントが予約でほぼ満室。食事はテント前の屋外デッキでとり、他のグループとの接触機会は少ないという。
 キャンペーン停止後、同ホテル本館はキャンセルが出ている。担当者は「割引にならなくてもグランピングには付加価値があると選んでいただいている」と手応えを口にした。

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