新型コロナウイルスの「まん延防止等重点措置」が適用される県内9市で28日、県による「酒類提供の終日停止」要請がスタートする。
「酒を飲めない居酒屋に客は来ない」「感染拡大は酒のせいなのか」。休業を余儀なくされる飲食店からは悲鳴と不満が噴出し、関連業種にも困惑が広がる。大型連休を直撃する事実上の〝禁酒令〟が、時短営業の苦境にあえぐ繁華街に深刻な打撃を与えそうだ。
◆休業決意の店主「不公平だ」
「酒を出せないのなら、営業は続けられない」
JR関内駅近くにある居酒屋の店主は、今月末からの休業を決意した。
繁華街の大型店のため家賃が高く、県の時短営業協力金では赤字が避けられない。既に午前0時の閉店時間を繰り上げ、来店客は以前の2割ほどに減った。そこに追い打ちを掛ける5月11日までの酒類提供停止要請に、「なぜ我々だけが悪者扱いされるのか。不公平だ」と憤る。
常連客からは「ノンアルコールビールを飲みに来るよ」という声も掛けられたが、「酒と料理は切り離せない食文化で、料理だけでは満足してもらえない」。店としてもノンアルコール飲料では利益が出ないと明かす。
店は感染対策に力を入れ、マスク飲食を来店客全員に徹底している。一方で、ショッピングセンターや映画館は営業を続け、昼間の繁華街は多くの人が歩いている。行政の偏った対策に不信は募るばかりだ。「飲食店の休業だけでコロナが収束するような事態は、そもそも緊急事態ではない」