元五島市係長に有罪 支援の高齢者から400万円窃盗 長崎地裁支部判決

元職員の有罪判決を受け、記者会見で頭を下げる久保副市長(左)ら=五島市役所

 長崎県五島市の保健師として支援していた高齢者のキャッシュカードを使い計400万円を盗んだとして、窃盗罪に問われた同市元職員の被告(58)=福岡市=に対し、長崎地裁五島支部(本井修平裁判官)は27日、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役3年)の判決を言い渡した。
 判決によると、被告は長寿介護課の長寿支援班係長だった2017年4~11月、五島市内の高齢男性(故人)から不正に入手したキャッシュカードで16回にわたり、計350万円を引き出し、盗み取った。さらに市を退職後の19年5月、同じ口座から50万円を引き出した。
 本井裁判官は「保健師として支援する立場を利用した非常に悪質な犯行。被害は多額で、ギャンブルでつくった借金の返済に充てるなど酌量の余地はなく、規範意識が欠如している」と指摘。一方、既に男性の遺族に350万円を弁済し、残りも誠実に協議する意向を示していることなどを踏まえ執行を猶予した。
 元職員の有罪判決を受けて久保実副市長は会見し「被害者とご遺族、市民の皆さまにおわびする。あらためて職員の服務規律の徹底と綱紀粛正を図る」と野口市太郎市長のコメントを読み上げた。野口市長は責任を取り自身の給与を減額する議案を6月定例市議会に提出する。市は、元職員の被告が既に退職しているため懲戒処分できず、支給した退職金の全額返還を求めるという。

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