東海大の学生500人が参加した復興支援活動 10年史に 東日本大震災「風化させない」

復興支援活動の記録を一冊にまとめた越光さん(左)と今井さん=東海大学湘南キャンパス

 東日本大震災の被災地の復興支援に取り組んできた東海大学の学生プロジェクトチームが、これまでの活動の記録をまとめた「活動10年史」を作成した。歴代メンバーの体験談や資料を参考にし、活動内容や思いを活字にした。プロジェクトリーダーを務める同大工学部4年の越光蓮さん(21)は「震災を風化させないため、これまでの活動を発信したい」と話している。

 10年史は、A4版122ページ。2011年3月末に大学側の呼び掛けで発足し、現在までに計約500人の学生が参加した「3.11生活復興支援プロジェクト」の活動を紹介。岩手県大船渡市と宮城県石巻市で学生が中心となって設置した木造平屋の仮設集会施設を拠点とし、地域住民と交流する様子や、分断された地域同士を結ぶ遊歩道の整備などの活動を写真を添えて伝えている。

 現役メンバーは昨年5月から、10年史の作成に着手。資料を基に活動の経緯を調べた上、歴代のプロジェクトリーダーの生の声を聞き取った。地域資源を生かし、被災者と共に復興の道を歩もうとする学生たちが苦悩しながらも、地元住民と心を通わせたエピソードなどもつづられている。

 「この10年で、活動内容は生活支援から風化防止に変わってきた。それでも、被災者を支えたいという思いは同じ」と越光さん。同大理学部3年の今井響さん(20)は「これから起こり得る災害時の支援活動について、考えるきっかけになれば」と話している。

 300冊を作り、希望者に配布する。

© 株式会社神奈川新聞社