進化する松浦魚市場

 松浦支局に勤務していた約20年前、魚市場での取材は夏は暑く、冬は寒さで凍えていた。先日、久しぶりに訪ねると、雑然としていた場内の風景は大きく変わり、大企業の製造工場のように整然としていた▲近年「アジフライの聖地」として知名度が急上昇している松浦市の松浦魚市場が今春、国内有数の設備を備えた水揚げ基地に生まれ変わった▲漁船から運び込まれた魚の選別や競りをする荷さばき所は吹きさらしから屋内施設に。高性能の魚体選別機、魚を傷つけないシャーベット氷を供給する最新の設備や海水殺菌装置を導入し、高鮮度・高衛生の魚を出荷できるようになった▲市が4年前から進めてきた再整備事業が完了し、水揚げから出荷までの全工程が空調の効いた屋内作業に変わった。魚が外気にさらされることはない▲特に、隣接する冷凍施設と荷さばき所の屋内連結は国内初。これを生かし、世界トップレベルの衛生管理が求められるEU大市場への販路拡大が実現すれば、ブランド力はさらに高まる▲新施設の稼働は大型連休明けになる見通しで、松浦が水揚げ量日本一を誇るアジの本格シーズン幕開けとも重なる。大衆魚と侮ることなかれ。脂が乗った旬の刺し身は高級魚もしのぐうまさだ。ぜひご当地で、より進化したアジ料理をお試しあれ。(真)


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