【東京五輪】IOCの「膝つき」行為禁止案が波紋 「人種差別を許さない」と反発の声も

さらなる火種が

リオデジャネイロ五輪男子200メートルで4位入賞を果たしたアダム・ジェミリ(27=英国)が、国際オリンピック委員会(IOC)の判断に猛反発している。

昨年5月に米国で白人警官に黒人男性が殺害された事件をきっかけに、世界各地で人種差別に反対する運動が活発化。スポーツ界でも人種差別に反対する意思を示すべく「膝つき」などの行為が見られるようになったが、IOCは4月21日に五輪憲章第50条に沿い、東京五輪期間中の競技会場や表彰台での抗議を認めないと発表した。

そんな中、ジェミリは米スポーツ専門放送局「ユーロスポーツ」のインタビューで「(IOCは)世界で起きていることに鈍感だ。アスリートたちは抗議するだろう。言論の自由を持つことが五輪の象徴であるということを意味している」と苦言を呈した。

もちろん、ジェミリも五輪と政治は切り離すべきだと考えているが「人道的な問題は全く政治的な問題ではありません」と強調し「表彰台に上がる瞬間が来ても実際に声を上げたり、何かをしたりすることが許されないのは、とても残念です」と肩を落とした。

その上で、実際に東京五輪で表彰台に立ったときに声明を出すのかと問われると「絶対に! もちろんです! それが最初の一歩であり、もしそれが膝をつくことであれば、私はそうします。私は人種差別を許さない」と力強く語った。

53年前のメキシコ五輪では、陸上男子200メートル決勝で1位のトミー・スミス(米国)と3位のジョン・カーロス(米国)が表彰台で黒い手袋を着けた握り拳を高々と突き上げ、人種差別に対して抗議。世界に問題を提起したこともある。

ドイツ選手団やイギリス選手団は、人種差別に反対する抗議を行ったアスリートをサポートする方針を示しているが、果たしてIOCはどのような動きを見せるのだろうか。

© 株式会社東京スポーツ新聞社