3度目の『危機宣言』 長崎医療圏 新型コロナ急速拡大で病床逼迫 医師会「県民一丸となって努力を」 

3度目となる「医療危機的状況宣言」を出した背景を説明する森崎会長=長崎市茂里町、県医師会館

 長崎市を中心に新型コロナウイルスの感染が急速に拡大し、長崎医療圏の病床が逼迫(ひっぱく)しているとして、県医師会(森崎正幸会長)は4日、同市内で記者会見を開き「医療危機的状況宣言」を出した。森崎会長は「人の流れは止まっていない。感染の約9割が変異株で、爆発的な感染が危惧される。助かる命を救えない状況が起こり始めている」と指摘し、県民に不要不急の外出自粛などを呼び掛けた。
 宣言は第3波の昨年12月以来3度目。第3波では病院や高齢者施設が中心だったが、第4波の現在、長崎市では夜の飲食店やカラオケ喫茶などで若者を中心に感染が広がっている。同会は「近日中の県内全域への感染拡大は必至」とみている。
 長崎医療圏の確保病床は140床あり、3日までに83床(59.3%)が埋まっている。離島など他の地域から重症患者を受け入れるためにある程度、病床を空けておく必要があるが、既に逼迫している。長崎市の新規感染者は増加しており、「すぐに満床になる」と見解を示した。
 同会では、危機的状況に備え、基幹病院で退院基準を満たした患者を他の協力病院に移送する体制や、自宅療養、宿泊療養の体制づくりも進めている。
 同会は「県民一丸となって感染者を増やさない努力をすべき」と強調。仕事場での感染拡大も増えているとして休憩室でのマスク着用なども要請した。森崎会長はワクチンについて「積極的に接種を受けてください」と呼び掛けた。


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