武井壮が東京五輪開催巡る議論に「アスリートを悩ます事態になっているのが問題」

武井壮

アスリート出身のタレントの武井壮(47)が10日、TOKYO MX「バラいろダンディ」に出演。東京五輪に出場するアスリートの心境について持論を展開した。

9日に国立競技場(東京・新宿区)で開催された陸上テスト大会では、会場周辺で五輪中止を訴える反五輪団体がデモを実施し騒然となった。

女子1万メートル東京五輪代表の新谷仁美(33=積水化学)は「私たちスポーツ選手は国民の理解と応援があって成り立つ職業なので(五輪を)反対している人も応援してくれる人もすべての人の理解を得るためには、寄り添う必要がある。国民の意見を無視してまで競技をするのはアスリートではない。応援してくれる人たちだけに目を向けるようでは、私は胸を張って日本代表ですとは言えないです」「競技で結果を出せばいいってわけではない」など悩める心境を明かした。

意見を求められた武井は「複雑な心境とか言いますけど、シンプルだと思います。選手は当然ですけど競技会をやりたい、オリンピックも出たいしメダルも取りたい。全員が思ってると思います」とコメント。「だけど、今の状況でそれを言うことがはばかられているのが正直なところだと思う」と続けた。

反対派の中にはIOC、JOC、日本政府、東京都ではなく、出場選手に五輪辞退を求める動きさえも出ている。武井は「アスリートたちが自粛を要請されていて、競技会をやってはいけない。練習も休業してくれ、となって、じゃあ飲食産業の何兆円もかけたビッグイベントを日本でやります。飲食の関係者を何万人か(日本に)入れますとなったら、『ちょっと待ってくれよ、オリンピックはどうなんだ』と言うと思うんですよ」と立場が変わった場合に発言も変わると推測する。

武井は「そういう事態になっちゃっているのが問題」と指摘。「アスリートたちが苦しまなくちゃいけない…彼らの責任は何一つない。政策だったり感染対策とか、うまくいかなかった日本の現状だと思う。でも日本だけでない。ウイルスに関しては世界中が巻き込まれている最中なので、マイナスの意見があるのも当然だと思うし、やってもいいんじゃないかという温情の声をいただくのも当然だと思う」とコロナ対策の〝失敗〟が混乱を招いたとコメント。

さらに「新谷さんが言うように僕ら(アスリート)の仕事って、僕らが考えた楽しい遊びをたくさんの人が楽しんで健康な上で見てくれるから仕事になっているから、それをひっくり返して『そんなことは置いといて、とにかく大きい大会だから』と訴えるだけでは、開催を全員が『よし』と言える段階は過ぎたんだなと感じます。悲しいことだけど」と分析。五輪開催をめぐる意見の〝分断〟を悲しんだ。

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