知事「まん延防止」を長崎県内適用要請 ワクチン大規模接種も検討

 中村法道知事は10日、新型コロナウイルスの感染者が急拡大している長崎市を念頭に、国の緊急事態宣言に準じた対策を取る「まん延防止等重点措置」を県内に適用するよう、政府に要請した。
 同市では4日、1日当たり過去最多となる55人の感染が公表された。それ以降も20~30人台の感染者が連日確認され、感染拡大に歯止めがかからない状況。9日時点で同市を中心とする長崎医療圏の専用病床利用率は9割弱に上り、医療関係者は「(病床逼迫(ひっぱく)で)命の選択が起きかねない」と危機感を強めている。
 県は既に同市に対し独自の緊急事態宣言を発令。31日まで外出自粛のほか、飲食店、運動施設、劇場などに営業時間を短縮するよう求めている。重点措置が適用されれば酒類の提供停止などを要請できるほか、時短要請を拒めば最終的に行政罰(過料)が科される。
 知事は「長崎市内でさらなる対策の強化を図る必要があると判断した。重点措置の適用を西村康稔経済再生担当相に要請し、『深刻な状況は承知した。しっかり分析したい』との発言があった。国の議論を注視し現在の対策に全力を注ぐ」とのコメントを出した。
 また知事は10日の全国知事会の会合で、新型コロナのワクチン接種について、大規模な接種会場を県内に設けられないか検討していることを明らかにした。
 厚生労働省は7日、大規模接種会場の設置を積極的に検討するよう都道府県に要請。承認申請中の米モデルナ製を2~3カ月程度継続して接種することなどを条件としている。
 県内21市町は7月中に高齢者への2回目の接種を終えることを目標にしている。知事はこれを念頭に「都道府県でもモデルナ製のワクチンによる集団接種が可能となっており、本県でも接種に向けた課題の検討を進めている」と述べた。


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