【岸本拓也が街をプロデュース】「鳥取=コーヒー」はデータ的にもネタ的にも説得力抜群!

コーヒーで街おこしができる?(写真はイメージ)

日本全国に増え続ける面白い名前のパン屋のプロデューサー・岸本拓也氏が、もし地方の街をプロデュースしたら? 新規開店のために日本を飛び回り、地道な調査を重ねる岸本氏が蓄えた知識を街おこしに生かしてもらおう、という連載です。

【鳥取県鳥取市③】
鳥取市が街おこしに使えるもう一つの食材、それは「コーヒー」です。

鳥取とコーヒーといえば、かつて「スターバックス最後の空白県」だったことが大きな話題になりました。それを逆手に取って、観光名所の砂丘とスタバをかけた「すなば珈琲」が市内に開店(2014年)。ユーモアでまた話題にし、そして15年に実際にスタバがオープン。この一連の流れが全国的な話題になったことで、鳥取とコーヒーのイメージが結びつくようになりました。

これ、めちゃくちゃ重要なことです。コーヒーのようにどこでもある食材が、一つの県や市と頭の中でつながることって、そうないんです。例えば東京の世田谷区、千葉市、さいたま市…と挙げていっても、なかなかコーヒーを思い浮かべるところってないでしょう。どこでもある食材でイメージを獲得するのが難しいから、「特産品」「B級グルメ」を前面に出すんです。

鳥取市は一連のやりとりで「鳥取でコーヒーを飲む」というネタ的発想を手に入れ、国民の頭に焼きつけたわけです。これを利用しない手はありません。

さらに総務省の家計調査で、鳥取市は15年に一世帯当たりのコーヒー支出金額で日本一に。17~19年の家計調査のデータを見ると、数量は2位、金額は4位とずっと高い位置にいます。データ的な説得力もあるわけです。なお、数量、金額とも1位は京都市ですが、京都市はウリがいっぱいありすぎて、コーヒーを押し出してもインパクトが薄いです。

見回しても「コーヒーで街おこし」って、あまり聞きません。少なくとも大々的にやって成功しているところはない。だから「コーヒーの街 鳥取市」として売り出すチャンスです。

もちろん、コーヒーに合う食材も、数々揃えておいた方がいいでしょう。用意するのは、私が提案するもう一つの街おこし食「カレー」を使った「カレーパン」です。コーヒーとカレーパン。最高!

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