【体操】エース萱和磨 東京五輪の開催是非に「僕たちが決めることじゃない」

男子公式練習に臨む萱和磨(代表撮影)

体操の東京五輪選考会となるNHK杯(15日開幕、長野・ビッグハット)の公式練習が14日に行われ、男子エースの萱和磨(24=セントラルスポーツ)が練習後に取材に応じた。

4月の全日本選手権は3位。今大会で2位以内に入れば団体入りが確定するが、今の萱は周囲の成績や順位に惑わされぬ〝鉄の意志〟が備わっている。「前から代表に対する思いはある。特別、新たに芽生えたわけではなく、とっくのとうに芽生えている」。いつものように自信満々に語るエースは、取材中は「自分に勝つ」という言葉を多用した。

「すごい僅差なので何があるか分からない状況。そういう時だからこそ自分に勝ちたい。ここを乗り越えないと五輪はない、と言われているような試練だと感じている」

全日本選手権の鉄棒では「1000回に1回」というミスが出た。「練習で成功しても本番でミスしたら意味がない」と悔やみつつ、そこから3週間は様々な思いが去来した。

「萱和磨と戦っていた3週間だった。NHK杯も自分だけの世界の中で、自分自身と向き合って演技したい。そうすれば結果は勝手についてくると思います」

夢舞台の東京五輪は今、世論の風当たりが強い。しかし、萱はその現実を受け入れ、こんな心境を語る。

「世間では五輪が開催されるかされないか、賛成や反対などありますが、僕たち選手は正直出たいですけど、僕たちが決めることじゃないのかなって思う。僕たちは五輪ってものを取っ払ったとしても、体操はたぶんやる。その延長線上に五輪がある。この状況で仮に五輪が中止になったとしたら練習をやめるかというとそうではない。僕たちは練習するだけ、準備するだけ」

どんなに五輪開催が困難に陥ろうとも、目の前の戦いは明確だ。その相手は自分自身でしかない。

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