王者ホークス本領発揮はいつ? 主砲・柳田、3割目前も打撃指標に見る“不調”の影

ソフトバンク・柳田悠岐【写真:藤浦一都】

現在、首位の楽天とゲーム差なしの2位につけるソフトバンク

開幕から40試合前後を消化し、混戦模様となっている2021年のパ・リーグ。2年連続のリーグ優勝を目指すソフトバンクはここまで44試合を終えて21勝16敗7分の貯金5で、首位楽天とゲーム差なしの2位につけている。

決して悪くない位置につけているソフトバンクだが、イマイチ波に乗り切れていないのも事実だ。開幕4連勝と好スタートを切りながらもそこから5連敗。その後、盛り返して一時は貯金7まで増やしたが、4月23日からのロッテ3連戦以降、6カード連続で勝ち越しなし。5月14日からの日本ハム戦を2勝0敗1分として、7カードぶりに勝ち越しに成功した。

勢いに乗り切れない要因はいくつかある。故障者の多さや先発陣の不振と駒不足、繋がりに欠ける打線など……。その中で、主砲である柳田悠岐外野手の不調も要因の1つと言えるのではないだろうか。

四球の割合を示す「BB%」が昨季から減少

18日の西武戦で先制2ランを放った柳田は、今季ここまで全44試合に出場して174打数51安打の打率.293、8本塁打21打点。この数字だけを見れば、決して悪くない。打率はリーグ7位、本塁打はリーグ2位タイとまずまず。ただ、20打点はリーグ10位タイと、柳田としては、やや物足りないものとなっている。

柳田の今季の得点圏打率は.282。昨季は.369で、故障で長期離脱を強いられた2019年も含めて、7年連続で得点圏打率は3割を超えていた。それを考えると、確かにここまでの柳田はチャンスでの勝負強さに欠けているように映る。セイバーメトリクスの指標などを用いて分析などを行う株式会社DELTAのデータ(5月16日終了現在)を見ると、重要な場面での働きを示す「Clutch」は「-0.81」とマイナス。チャンスで結果が出ていないことはデータにも出ている。

では、柳田の5月16日までの打撃指標を分析していってみよう。まず、今季は圧倒的に四球が選べていない。例年は15%超を記録する「BB%」が、今季はここまで9.5%にとどまる。三振率を示す「K%」は21.7%と微増。四球と三振の比率を示す「BB/K」は0.44となっており、昨季の0.82から大きく下降している。

18日の試合では特大の8号を放ったソフトバンク・柳田悠岐【写真:荒川祐史】

ボール球をスイングする「BB%」が大幅に上昇

この原因として考えられるのがスイング傾向に表れている。柳田といえば、豪快なスイングとは裏腹に選球眼にも優れ、際どいボールを見極めて四球を選べる特徴がある。だが、今季はストライクゾーン外の投球をスイングする確率を示す「O-Swing%」が33.9%と、昨季の26.3%から上昇している。逆にゾーン内のスイング確率を示す「Z-Swing%」は昨季の79.0%から70.6%へと減少している。ここまでの柳田はボール球に手を出す傾向が強くなっている。

そして、打球傾向にも大きな変化が生まれている。まず、ゴロの増加だ。今季はここまでゴロ割合を示す「GB%」が49.6%に。昨季は38.2%で10%以上ゴロが増加している。当然、フライ割合を示す「FB%」は昨季の48.9%から39.5%に、ライナー割合の「LD%」も昨季の12.8%から10.9%になっている。

柳田は“フライボール革命”の波に乗り、打球に角度をつけて結果を残してきたことがバッティングの特徴だった。他球団の攻め方によるところもあるだろうが、今季はここまでなかなか打球に角度がつけられていない。ボール球に手を出してしまい、打球に角度がつかない。打撃指標を見ると、柳田の不調はここにも原因がありそうだ。

5月12日のロッテ戦で9試合ぶりに本塁打を放ち、その後も18日の西武戦の本塁打を含めて5試合連続で長打が出た柳田。徐々に復調気配にあると言えるか。やはりソフトバンクは柳田が中心。主砲の復調はチームが波に乗るためには不可欠な要素だ。

【動画】“不調”脱出のきっかけとなるか… メットライフDの右中間最深部に放った柳田の8号本塁打

【動画】“不調”脱出のきっかけとなるか… メットライフDの右中間最深部に放った柳田の8号本塁打 signature

(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2