【大日本】風雲急のストロング部門 野村卓矢が中之上靖文に肉薄も時間切れ引き分け V5を許す

野村卓矢(左)と阿部史典が試合後口にしたのは…

若武者は時計の針を戻せるか。

大日本プロレス23日の東京・後楽園ホール大会で「シングル二大タイトルマッチ」が行われ、「アストロノーツ」の野村卓矢(27)がBJW認定世界ストロングヘビー級王者の中之上靖文(35)に肉薄。ギリギリまで追い込んだが時間切れ引き分けに持ち込まれ、V5を許した。

試合は、かつてUWFに憧れて大日本に入った挑戦者が、得意の蹴りとサブミッションを駆使して王者を追い込んだ。蹴りで吹き飛ばし、場外でも執念の攻め。王者から左足を攻められたが執念で立ち上がった。

試合は最後まで野村が押し気味で、かつて師事して現在WWE・NXTでコーチとなった〝海を渡った偏屈者〟鈴木秀樹の得意技・ダブルアームスープレックスも放つ。

そして残り1分でスタンディングの胴絞めスリーパーで捕獲。しかしこれも逃げられ、無念の引き分けでベルトを逃した。

悔しさのあまり立ち上がれない挑戦者を尻目に、ゴングと共にスクリと立ち上がり王者の余裕を見せつけられると、なおさら悔しげ。王者から「必ず、もう1回やろう」と手を差し出されるとそれをひっぱたきリングを降りた。

すると、これにブチ切れたのがセコンドで「アストロノーツ」の相棒・阿部史典だ。「何をスポーツライクにしてるんだ!? 俺たちがそういうの、全部ぶっ壊してやる。負けるのが怖くなかったら、身長も体重も劣る俺に挑戦させろ!!」と食って掛かかりビンタを放った。

これに王者が怒らないはずもなく、挑戦を受諾された。その後、インタビュースペースに現れた2人は「試合後に『ありがとう』とか握手とか…。こんなあっさりしたスポーツみたいなストロングはぶち壊してやる」(阿部)、「ああ、鈴木秀樹がいたころの様に。ストロングをあの頃に戻してやる」(野村)と、試合前から何となく香り漂っていた元同王者の偏屈者の名をついに出してしまう…。

そして最後に阿部は「こっちはオリンピックやってんじゃねえんだ。プロレスはスポーツでもないし平和の祭典でもないんだ!」。風雲急を告げる大日本ストロング部門の行方は…。

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