糸魚川市初 行政代執行 特定空き家除却 近隣に危害の恐れ

 糸魚川市は30日、空き家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、特定空き家を除却する行政代執行を市内で初めて実施した。

屋根が崩落し倒壊の恐れがある特定空き家(糸魚川市青海地域)。行政代執行の開始宣言で取り壊しに着手した

 除却対象の特定空き家は青海地域の木造板ぶき2階建て(92・56平方メートル)の居宅。昭和6年築。平成19年から空き家となった。今冬の大雪で屋根が崩落、外壁の損壊で傾きが見られ、軒の損傷や瓦など屋根ぶき材が飛散する状態。隣家住民や隣接市道の通行人に危害が及ぶ恐れがあるとして、今年1月に特定空き家と認定した。市は所有者に対し助言・指導、勧告、命令、戒告の措置を段階を踏んで取ってきたが、措置期限までに改善が見られなかった。

 同日、市環境生活課の猪又悦朗課長が現地で行政代執行の開始宣言をし、市内業者による解体、撤去工事が着手された。期間は8月31日までの予定。立ち会った地元の民生委員は「長年心配だったので一安心」と話した。

 除却に係る受注業者の請負金額は275万円。費用は所有者に請求する。

 昨年度の空き家実態調査によると、市内の特定空き家相当は18棟。市は危険度の高い空き家所有者に対し除却支援補助金などを案内し、適切な管理を依頼している。猪又課長は「空き家にならないようしっかり管理することを検討してほしい」と呼び掛けている。

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