71歳おばあちゃん、湘南でサーフィン 実はかつての第一人者「またやりたくて…」 五輪日本勢活躍で普及期待

サーフィンスクールで波乗りを楽しむ笈川さん=7月、藤沢市内

 湘南の海に古希を過ぎても波乗りを楽しむ女性サーファーがいる。「広大な海を感じながら、波の上で立てた瞬間の気持ちよさがやめられない。若者だけでなく、多くの人に楽しんでほしい」。東京五輪での日本選手の活躍にも目を細め、サーフィンのさらなる普及を願う。

 女性は笈川孝子さん(71)。10代の半ばに神奈川・平塚の海でサーフィンを覚え、23歳のときには全日本選手権大会で2位に輝いたこともある、かつての第一人者だ。

 結婚を前に24歳で海から離れたが、現役時代に親交があり、茅ケ崎や藤沢市内でサーフィンスクール「湘南サーフィンアカデミー」を運営する鈴木正さん(78)と数年前に再会。「『おばあちゃん』と言われる年になったが、またやりたくなっちゃった」と、都内から同スクールに通うようになった。かつてのように大きな波には乗れないが、「体幹を鍛えられるし、全身運動なので無理をしない程度にやれば健康にもいい」と、現在の自分に合ったペースで楽しむ。

◆五輪競技化「うれしい」

 サーフィンを取り巻く社会や環境の変化も感じている。「昔はきちんと教えてくれる人もおらず、危ない面もあった。今はスクールで指導を受け、ルールを守ってやれば初心者でも安心して楽しめる環境が整っている」。さらに、初採用された東京五輪では五十嵐カノア選手が銀メダル、都筑有夢路選手が銅メダルを獲得。「不良の遊び」と見られることもあったというが「五輪競技にもなり、スポーツとして正しく理解されるようになったのがうれしい」と喜ぶ。

 「50歳、60歳からもできるスポーツ。自分もまだまだ続けたい」。今夏は新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が発出されたが、思い切り海を楽しめるようになる日々を待ち望んでいる。

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