ゲレーロJr.三冠王への挑戦 打率1位・本塁打2位タイ・打点4位

ブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)が9月に入って再び勢いを取り戻し、三冠王を狙える位置につけている。打率.319はリーグ1位、42本塁打はリーグ2位タイ、100打点はリーグ4位にランクイン。本塁打はトップと1差、打点はトップと4差であり、十分に三冠王の可能性を残している。ゲレーロJr.の活躍もあり、ブルージェイズは8連勝の快進撃でワイルドカード2位のヤンキースまで0.5ゲーム差に急接近。三冠王かつワイルドカード獲得となれば、大逆転でのMVP受賞もあり得そうだ。

メジャーリーグで三冠王が誕生したのは2012年のミゲル・カブレラ(タイガース)が最後。カブレラの前は1967年にカール・ヤストレムスキー(レッドソックス)が達成しているが、当時はまだア・リーグが10球団で地区制が導入されていなかった時代。1969年に12球団となって東西2地区制が導入されたが、地区制導入後はカブレラしか達成していない大記録である。8月の失速によって一時は「無冠」に終わる可能性も取り沙汰されたゲレーロJr.だったが、直近10試合で打率.405、6本塁打、9打点の大活躍。再び三冠王を狙える位置に戻ってきた。

また、ゲレーロJr.は打率でメジャー2位、本塁打でメジャー2位タイ、打点でメジャー4位につけており、1956年のミッキー・マントル(ヤンキース)以来65年ぶりとなる「メジャー全体の三冠王」を達成する可能性もある。打率メジャー1位のトレイ・ターナー(ドジャース)とはわずか2厘差。直近10試合で4割を超えるハイアベレージを記録していることを考えると、逆転する可能性は十分にある。

もし、22歳のゲレーロJr.が三冠王を達成すれば、23歳のシーズン(1942年)に三冠王に輝いたテッド・ウィリアムス(レッドソックス)を上回る最年少記録となる(注:打点が公式記録となる前の1909年にタイガースのタイ・カッブが22歳で三冠王になっている)。また、ゲレーロJr.は昨季終了時点で通算183試合にしか出場していなかったが、「三冠王を達成したシーズン以前の出場試合数」はウィリアムスの436試合が最少であり、ここでも記録を更新することになる。

さらに、ブルージェイズから三冠王が誕生すれば、球団史上初の快挙であり、アメリカ国外出身選手としてはカブレラに次ぐ史上2人目となる。ちなみに、直近の三冠王6人はいずれもア・リーグから誕生しており、ナ・リーグの三冠王は1937年のジョー・メドウィック(カージナルス)を最後に出ていない。

なお、殿堂入り選手である父のブラディミール・ゲレーロは打率.315以上を9回、35本塁打以上を5回、120打点以上を4回も記録したが、打撃3部門でタイトルを手にすることはなかった。レギュラーシーズン残り23試合、大谷翔平(エンゼルス)とサルバドール・ペレス(ロイヤルズ)との本塁打王争いの行方とともに、三冠王への挑戦にも注目だ。

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