【オールカマー】鞍上・横山武の〝失策〟をカバーしたウインマリリンの 完成度

ウインマリリンと横山武

26日、曇天模様の中山競馬場で行われた第67回GⅡオールカマー(芝外2200メートル)は2番人気のウインマリリン(牝4・手塚)が優勝。勝ち時計2分11秒9(良)。3月のGⅡ日経賞以来となる3度目の重賞制覇を成し遂げた。GⅠ馬レイパパレを退けた力は本物。勇躍してエリザベス女王杯(11月14日、阪神芝内2200メートル)へ向かう。

今週からB→Cコースへと替わり、内側の馬場コンディションは極めて良好。同枠(1枠)のウインキートスが2着に入った経緯からも枠順に恵まれたのは否めないが、その理由だけでは済ますことができない輝きを誰しもが感じたろう。

当の横山武は「(直線で)逃げたロザムールとレイパパレの間に入ろうと思ったけど入り切れず。一旦、手綱を引っ張ってしまって。それでも勝てたように馬に救われた」と自らの失策を吐露すれば、手塚調教師も「鞍上の指示に素早く反応できるようになったよね。もともとジリっぽい面があった馬なのに…」と予想を上回るパフォーマンスに驚きの表情を見せた。

ひとまずレースを振り返ろう。大方の予想通りロザムールがハナを切って、ややスローな流れに持ち込んだ。その直後にウインマリリン、レイパパレが並んだが、スムーズに折り合ったマリリンとは対照的にレイパパレはやや掛かり気味。そのまま隊列は乱れることなく直線へ。残り100メートル地点でようやく進路を確保したマリリンはグイッとひと伸び。いや、グイッグイッと伸びて2着ウインキートスに1馬身半差つけてフィニッシュ。スムーズに加速していれば3馬身はちぎっていたのではないか。

前走の天皇賞・春5着後に踏み切った右ひじの手術が奏功。それに伴い、「稽古の動きが良くなったし、パシュファイヤーを付けなかったにも関わらず落ち着いていた」と師は心身の成長に目を細める。当然、この先向かうのは秋の女王決定戦=エリザベス女王杯。「次は自分の技術も発揮して、馬の力を十分に発揮できるよう頑張りたい」と改めて決意表明をした横山武。昨年は4着完敗だったが、完成の域に入った今年は主演女優賞に限りなく近い存在と言えそうだ。

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