衆議院小選挙区選挙 全選挙区の自公比率を観察する(データアナリスト・渡邉秀成)

衆議院選挙が間近に迫っています。国会議員の国政報告書等が郵便受けに入ることも多くなりました。
選挙を予定されている候補者のポスターには、各政党、各派閥の顔となる人物と映るものに変更になっていることに気付かされます。

そして各政党の活動報告等をする広報車が大きな拡声器を利用して、町中を走る姿を目にすることも多く、地域の人が多く集まるスーパーやショッピングモール近くで、さまざまな人が意見を発表する声を耳にすることも多くなりました。

このようなことからも選挙が近づいていることを実感します。2021年秋に執行予定の第49回衆議院選挙ですが、新型コロナウィルスのデルタ株が猛威をふるう中での選挙となりそうです。そしてこの選挙では新型コロナウィルス対策等が大きな争点の一つとなりそうです。

これまでの新型コロナウィルスに対する政策がよかったのか?緊急事態において国民の健康、経済的な支援は十分であるのか?等、有権者がシビアにどの政党、候補者に投票するのかを検討していることと思います。

そして選挙が近づくたびによく耳にする言葉に投票率の低下傾向と、野党共闘があります。

小選挙区制選挙であると一つの選挙区に野党候補者が複数立候補してしまうと、野党候補者どうしで票を奪い合う構造になるので、それを避けようという動きです。

実際にGoogleTrendsで野党共闘をキーワードにして検索をすると、選挙が近づくたびに人気を集めていることがわかります。

 

このグラフの1つ目の大きな山は2017年9月、10月に時点にあり、第48回衆議院選挙直前にあることがわかります。
2つ目の山は2019年7月時点にあり、2019年7月は第25回参議院選挙が執行された時期です。

このように野党共闘という言葉が選挙前に注目されることが多いのですが、実際に直近4回の衆議院小選挙区選挙において、自公、非自公の割合が選挙区ごとにどの程度の比率であるかグラフを作成してみました。

データは総務省 各衆議院選挙結果調のものを利用しました。第45回から第48回衆議院選挙まで、各小選挙区ごとに自公を青色、非自公をピンク色で表現しました。

グラフを見ると政権交代選挙と言われる第45回衆議院選挙では、非自公の青色部分の割合がその他の選挙と比較をすると大きなことがわかります。

その後、徐々に自公を意味するピンク色部分が増え、第47回はピンク色の部分が多くなっていることも確認でき、第48回では若干、非自公部分が増えているようにも見えます。

非自公である青色の部分には自民党に近い関係の政党等も含まれるので、このグラフから単純にこの部分では与党が強い、野党が強いとは言いにくいのですが選挙ごとの自公、非自公の力関係はおおよそ見えてきそうです。

上記グラフは第45回から第48回衆議院選挙における全小選挙区を一つにまとめたものですが、直近の第48回衆議院選挙における自公、その他の比率に見てみたいと思います。

このグラフでは埼玉11区、山梨2区、岡山3区では無所属候補者を自由民主党が支援しているので、これらの選挙区では無所属候補者であっても自由民主党として計算しました。

図2 北海道/東北ブロック_北陸信越東海ブロック

図3 東京ブロック_九州ブロック

これらグラフで選挙区ごとに自公とそれ以外の政党で分類すると、自公とそれ以外の政党の比率割合がより見えてきますし、選挙のたびに野党共闘が話題になるのも理解できます。

そして直近の国政選挙である第25回参議院選挙における、各政党の市区町村別に得票率が高い地域、低い地域について色分けしたものが下記になります。

 

この色分け地図からも各政党の得意な地域が見えてきます。図1から図3、図4の色分け地図を見比べると、より具体的に各政党の得意な地域や選挙結果に変動が出やすい地域を推測することができます。

野党にもそれぞれの政策があり完全な合意を得ることは難しい部分もあるのかもしれませんが、選挙区ごとのデータを観察してみると、野党がまとまることで選挙結果に変化が出そうな雰囲気は感じられます。

今回は国政選挙のたびに話題にのぼることの多い野党共闘について観察してきました。

© 選挙ドットコム株式会社