衆議院の解散にともない、10月31日に衆議院議員選挙(以下、衆院選)が行われる予定です。
衆院選では、「小選挙区比例代表並立制」という選挙制度を採用しており、小選挙区選挙と比例代表選挙が同じ投票日に行われます。
ふたつの選挙にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、ふたつのうち比例代表選挙についてわかりやすく解説します。
小選挙区選挙について知りたい!という方はこちらの記事もご覧ください。
【関連】【衆院選2021】「個人名を選ぶ!」衆議院議員選挙の小選挙区制とは?仕組みを解説!
衆院選の比例代表選挙とは?
比例代表選挙は、各政党が獲得した投票数に応じて、候補者に議席を配分する選挙制度です。
日本では小選挙区選挙も同時に行うので「小選挙区比例代表並立制」と呼びます。
衆院選の比例代表では、日本の47都道府県を11のブロックに分けて選挙を行います。
ブロックごとに定数が異なり、例えば東京都で17、南関東(千葉・神奈川・山梨)で22の議席数が割り振られています。
衆議院の議員定数465人のうち、176人を比例代表選挙で選出します。
政党等が党内で「当選する順」を決めている
衆院選の比例代表選挙の大きな特徴が、拘束名簿方式と呼ばれるものです。
この方式では、政党等があらかじめ候補者の「当選する順番」を決めています。
政党の得票数に応じて、その政党に配分される議席数が決まり、名簿の順番で当選が決まるのです。
つまり、有権者が投票で決められるのは「どの党から何人当選させるか」というポイントになります。
参院選でも比例代表選挙(いわゆる「全国比例」)がありますが、こちらは非拘束名簿方式がとられており、その他にも「特定枠」が設置されていたりと衆院選とはルールが異なります。
各政党の当選者数の決定には「ドント方式」という計算方式が採用されており、これは衆院選・参院選どちらの比例代表選挙でも使われています。
投票所で2枚目にもらう紙に政党名を書く
衆院選の比例代表での投票のポイントは以下の2つです。
- 投票所で2枚目にもらう投票用紙が比例代表用
- 投票用紙に書くのは政党等の名称
衆院選では小選挙区と比例代表を同時に行います。
1枚目に小選挙区の投票用紙を受け取り、2枚目に受け取るのが比例代表で使用する投票用紙です。
投票記載台に進むと政党等の一覧が貼られているので、有権者は政党等の名前を書いて投票します。
このとき、個人名を書くと無効になってしまうので注意しましょう。
小選挙区と同時に出ることもできる
衆院選では、比例代表と小選挙区のふたつの選挙に同時に立候補することが可能です。
公職選挙法では、原則として同時に複数の選挙に立候補することは禁止されています(第87条)。
しかし衆院選に関しては、自身が立候補する比例代表のブロック内にある小選挙区であれば、小選挙区選挙においても立候補が可能です(第86条の2 4号)。
そのため、小選挙区で落選した候補者が比例代表で当選するというケースも存在します。
これを「比例復活」と呼びます。
「比例復活」について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【関連】【衆院選2021】「比例復活」とは?小選挙区で落選しても当選する仕組みを解説!
ちなみに、立候補する際に必要な供託金は小選挙区選挙単体で300万円、比例代表選挙単体で600万円必要です。
これが重複立候補となると、比例代表分が300万円になるので合計600万円で済みます。
小選挙区・比例代表両方に立候補できるのであれば、重複立候補にしてしまったほうが候補者としてはお得といえるのかもしれません。
ただし、政党によっては重複立候補できる候補者に年齢制限を定めているケース等もあります。
まとめ:政党名等で投票、名簿の上から当選する
10月31日に実施される衆院選の「比例代表選挙」について解説しました。
衆院選の比例代表選挙のポイントは以下のとおりです。
- 日本全国を11のブロックに分け、176人の衆議院議員を選出する
- 政党等が事前に当選する順番を決める拘束名簿方式
- 有権者は政党等に投票する
- 小選挙区と重複立候補が可能で、小選挙区で落選しても比例復活する可能性がある
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(執筆協力:夏森アキラ)