【新型コロナ】横浜・寿地区、単身高齢の療養者へ支援拡充 市や支援団体、食料や見守り

簡易宿泊所で療養する単身高齢者を支援する横浜市と市寿健康福祉交流協会の職員ら=21日、同市中区

 新型コロナウイルス感染症が急拡大したことを受け、横浜市は同市中区の寿地区で単身高齢者への支援を強化している。簡易宿泊所(簡宿)で療養する人に食料の提供や見守りを始めたほか、認知症専用の病床を確保して入院調整を加速させるなど取り組みを広げており、地区内の支援団体などと連携して感染拡大を食い止めたい考えだ。

 市が昨年11月に実施した調査によると、同地区には簡易宿泊所が118軒あり、約5600人が宿泊している。うち65歳以上の高齢者は約3100人で、高齢化率は55.5%。全国(29.1%)や市(24.8%)の2倍に匹敵する。

 オミクロン株はその特性上、高齢者が感染した場合、コロナが重症化するよりも感染により体力が低下して持病を悪化させる人が多いとされる。同地区の感染者の多くが簡宿を利用する65歳以上の単身者だったため、市は今月から市寿町健康福祉交流協会(同市中区)の協力を得て、同協会が備蓄している職員用の非常食を提供することにした。

 今月初旬には、感染が判明した高齢男性が療養している簡宿に市職員が3日分の食料を届け、推移を見守った。男性は翌朝に調整がつき、入院できたという。

 また、市は今月から認知症専用病床を約10床確保して受け入れを始めた。山中竹春市長は10日の会見で「(寿地区での感染者の)中には認知症を患っている人もいる。特別なケアが必要と判断した」と説明した。

 市寿地区対策担当の小口秀明担当課長は「簡宿の帳場さん(管理人)をはじめ、ヘルパーや訪問看護師、往診医ら多くの人が見守ってくれている。地域力で単身高齢者を支えたい」と話している。

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