移籍1年目にサイ・ヤング賞を受賞した投手 公式サイトが特集

日本時間2月26日、フィリーズがリック・ワイズとのトレードでカージナルスからスティーブ・カールトンを獲得してから50年が経過した。カールトンはフィリーズへ移籍した1972年に27勝10敗、防御率1.97、310奪三振の好成績で投手三冠に輝き、サイ・ヤング賞を受賞。この年のカールトンのように移籍1年目にサイ・ヤング賞を受賞した投手は過去12人(14度)いる。メジャーリーグ公式サイトのサラ・ラングス記者は、これらの投手を紹介する特集記事を公開している。

「移籍1年目にサイ・ヤング賞」の第1号は1966年12月にワシントン・セネタース(現レンジャーズ)からジャイアンツへトレードされたマイク・マコーミックだった。5年ぶりのジャイアンツ復帰となったマコーミックは、翌1967年に両リーグ最多タイ(リーグ単独トップ)の22勝をマーク。ジム・バニングとファージー・ジェンキンスに大差をつけてサイ・ヤング賞を受賞した。

1969年にはアストロズからオリオールズへトレードされたばかりのマイク・クエイヤーがリーグ2位の23勝、同3位の防御率2.38を記録してサイ・ヤング賞を受賞。リーグ最多の24勝を挙げたデニー・マクレーンとの同時受賞だった。また、カールトンが「移籍1年目にサイ・ヤング賞」を成し遂げた1972年には、ジャイアンツからインディアンス(現ガーディアンズ)へトレードされたばかりのゲイロード・ペリーもア・リーグのサイ・ヤング賞を受賞。ペリーはレンジャーズからパドレスへトレードされた1978年にもサイ・ヤング賞を受賞しており、キャリア2度のサイ・ヤング賞はいずれも移籍したシーズンだった。

1974年にはエクスポズからドジャースへトレードされたばかりのマイク・マーシャルがサイ・ヤング賞を受賞。この年のシーズン106登板は現在もメジャー記録として残っている。1981年のロリー・フィンガース(カージナルスからブリュワーズへトレード)と1984年のウィリー・ヘルナンデス(フィリーズからタイガースへトレード)はいずれも絶対的守護神としてチームを優勝に導いたことが高く評価された。また、ヘルナンデスと同じ1984年には、シーズン途中にインディアンスからカブスへトレードされたリック・サトクリフがナ・リーグのサイ・ヤング賞を受賞。シーズン途中に移籍した選手がサイ・ヤング賞を受賞したのは史上唯一である。

1990年代に入ると、FAで移籍した大物投手の受賞が目立つようになり、1993年にグレッグ・マダックス(FAでカブスからブレーブス)、1997年にロジャー・クレメンス(FAでレッドソックスからブルージェイズ)、1999年にランディ・ジョンソン(FAでアストロズからダイヤモンドバックス)が受賞した。マダックスは移籍1年目から3年連続の受賞でトータル4年連続となり、クレメンスは2年連続で投手三冠&サイ・ヤング賞。4年契約でダイヤモンドバックスに加入したジョンソンは4年連続でサイ・ヤング賞に輝いた。

クレメンスはその後、ヤンキースからFAでアストロズに移籍した2004年にもサイ・ヤング賞(キャリア7度目)を受賞。「移籍1年目にサイ・ヤング賞」を2度達成したのはペリーとクレメンスの2人だけである。そして、現時点で最後の達成者は2009年12月にブルージェイズからフィリーズへトレードされたロイ・ハラデイ。翌2010年に21勝10敗、防御率2.44、219奪三振の好成績を残し、満票でサイ・ヤング賞を受賞した。

今オフは昨季サイ・ヤング賞のロビー・レイがFAでブルージェイズからマリナーズへ移籍。ケビン・ゴーズマン(FAでジャイアンツからブルージェイズ)、マックス・シャーザー(FAでドジャースからメッツ)ら有力投手も移籍しているが、ハラデイ以来となる「移籍1年目にサイ・ヤング賞」の達成者は誕生するだろうか。

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