複数の球団がルール5ドラフト中止について機構側に問い合わせか

「ESPN」によると、ロックアウトの長期化と労使交渉の難航によって先行きが不透明な状況のなか、複数の球団がルール5ドラフト中止の可能性についてメジャーリーグ機構へ問い合わせを行ったようだ。今後ルール5ドラフトが開催される可能性があるため、多くの球団が有望株の流出を恐れてマイナーキャンプへの他球団のスカウトの立ち入りを禁止するなど、複雑な状況を招いている。ルール5ドラフト中止にはメジャーリーグ選手会の同意が必要だが、労使交渉のなかでルール5ドラフトに関する議論はまだ行われていないようだ。

ルール5ドラフトはマイナーリーガーにとってメジャーでの出場機会を得るための貴重なチャンスとなる。各球団は一定の条件を満たした他球団のマイナーリーガーを移籍金10万ドルを支払うことで獲得できるが、1年を通してロースターの26人枠に登録しておく必要がある。もちろん、メジャー最低保証年俸が支払われる。つまり、ルール5ドラフトは選手にとって出場機会と昇給という2つの意味で貴重なチャンスとなっているわけだ。

今後ルール5ドラフトが行われる場合に備え、現時点で少なくとも16球団がマイナーキャンプへの他球団のスカウトの立ち入りを禁止している。一方、レッズ、ブリュワーズ、アスレチックス、レイズ、マリナーズの5球団は協定を結び、お互いのマイナーキャンプを自由に視察できるようにしている。マイナーキャンプへのスカウトの立ち入り禁止はルール5ドラフトだけでなく、ロックアウト解除後のトレードにも影響を与えるとみられている。

ルール5ドラフトが開催されるとロースター枠の一部がルール5ドラフトで指名された選手で固定されてしまう。今年はロックアウトの影響で大量のFA選手が市場に残ったままであり、選手会がFA選手のための枠の確保を優先し、ルール5ドラフト中止に同意する可能性もある。昨季のギャレット・ウィットロック(レッドソックス)やアキル・バドゥー(タイガース)のように、ルール5ドラフトをきっかけに大きく飛躍する選手もいるため、選手会はFA選手を優先するかマイナーリーガーを優先するか難しい選択を迫られることになりそうだ。

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