総体王者へ歩み順調 神奈川工高水球部、県選抜が世代別全国V 昨夏の負け糧に成長「主将に優勝を」

神奈川工高の1年生を主体に12大会ぶりの栄冠をつかんだ神奈川選抜のメンバー=昨年12月、岡山県倉敷市(同校提供)

 水球男子で昨年創部2年目にして全国総体初出場を果たした神奈川工高が、順調な歩みを進めている。冬の世代別全国大会では同校の1年生が主体となった神奈川選抜が12大会ぶりの優勝。チーム最多のアシストで最優秀選手に選ばれた久保田啓友は「自分たちはまだ若いチームだが、年上の相手にもびびらず自分たちの水球をやっていきたい」と確かな自信とともに夏の全国王者を見据えている。

 躍進を遂げたのは昨年12月に岡山県倉敷市で行われた全日本ユース選手権。15歳以下が対象で、同校の8人と多摩高の角野吾生に加え、カワサキスイミングクラブの中学生が出場した。

 初戦から快勝を飾ると、滋賀選抜との準決勝では「流れが悪くなったときにみんなで声を掛け合って1点ずつ取っていけた」と久保田。10─7で弾みをつけ、決勝も京都選抜に16─9で勝ちきった。

 「守りを固めてカウンターという戦術を徹底できたし、自分自身、声を出してディフェンスをまとめるという点で成長を感じる大会だった」とGKの吉村颯斗。攻撃の要、鈴木海斗も「得点に加えて退水を誘発することでも貢献できた」と胸を張る。

 主将を担った斎藤昂泰が誇るのは結束の固さ。「とにかく仲良く、みんなでゲームしたり、たわいもない話をしたり。仲が深まれば自然とプールでのコミュニケーションも増えた」。学年に関係なく中学生も自由に意見を出し合える雰囲気づくりに徹した。

 左サイドの森谷雄輝の喜びは仲間への思いがにじむ。「この大会で水球を辞めてしまう角野君と一緒に優勝したかったし、ゴールも決めてくれたので良かった」

 とはいえ、神奈川工高のメンバーに緩みはない。1、2年生で挑んだ昨夏の全国総体は初戦で秀明英光高(埼玉)に8-10で敗退。17歳以下が出場する全日本ジュニア選手権は関東ブロック予選で敗れた。

 「負けた気持ちを忘れず一からやり直して勝ち抜けるようにしたい」と吉村。斎藤も「1個上のカテゴリーで勝つことに意味がある。互角に戦える力がないと自分たちの代で勝てるか分からない」と引き締める。

 雪辱の思いだけではない。1年生軍団が敬愛してやまないのがチームを立ち上げた1学年上の主将、佐々木優京だ。鈴木は決意を込める。「キャプテンがいたおかげで部員が集まってきた。優勝していい思いをさせてあげたい」

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