コロナ禍「患者さんの力になりたい」 川崎市立看護大の新入学生ら決意新た

看護職を志し、新たな一歩を踏み出した川崎市立看護大の新入学生=同市幸区小倉

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う初の緊急事態宣言発令から7日で丸2年。依然として収束の兆しが見えない中で、医療従事者は間断なく奮闘を続けている。「地域や患者さんの役に立ちたい」。過酷な現場を覚悟しながらも最前線で尽力したいと高い志を持つ若者たちが、今春開学した川崎市立看護大の門をたたいた。

 「優しい表情に励まされた気がして、感動しました」。大西梨子さん(18)は、女性看護師の笑顔が脳裏に焼き付いている。

 1月に合格通知を受け取って間もなく、家族が新型コロナに感染した。自宅がある横浜市内の病院で検査結果を聞かされて不安が募ったが、寄り添ってくれた看護師の姿に将来の自分を重ねた。

 祖母が看護師という大西さん。勤務先の病院で働く姿を目にし、幼少期から看護職に憧れていた。「普段は見せない祖母の真剣な表情が格好良かった」のが理由だが、看護の道に進むと決めたのはコロナの感染拡大だった。

 逼迫(ひっぱく)する医療現場で医師や看護師らが奮闘する様子を連日、テレビ画面で目の当たりにした。「力になりたい」と看護大への入学を決め、難関を突破。今月5日に入学式を迎え、桜の木の下で決意を新たにした。「思いやりをもって患者をいたわる看護師を目指し、頑張ります」

 「過酷な現場を見ても、助ける側に回りたいという気持ちが揺らぐことはなかった」と話すのは、川崎市高津区の荻山育実さん(18)。「私たちが外出自粛している間も現場で懸命に働いてくれていた」と医療従事者への感謝を口にし、「地域や患者さんの助けになりたい」と意気込む。

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