高潮か津波か、縄文の痕跡 藤沢の遺跡で見つかった堆積物とは

底に近い黒い層が高潮か津波の痕跡とみられる堆積物(藤沢市提供)

 神奈川県藤沢市は16日までに、縄文時代晩期の高潮か津波の痕跡とみられる堆積物を同市片瀬1丁目付近の片瀬宮畑遺跡で確認したと発表した。この時期の同様の痕跡物が発見されたのは県内で初めてという。

 発掘調査は宅地造成に伴い、2021年4~5月に実施。境川に近い標高約3.5メートルの地層で、堆積物に含まれていた炭化物について放射性炭素年代測定を行ったところ、約2900年前の痕跡との分析結果が出た。

 現場は河口から約3キロの内陸だが、同地区を含む市の中心部はこの時期、大半が海だったと考えられ、発見された場所は海に面した一角だった可能性が高いという。

 今回の調査結果について市郷土歴史課は「これまでの研究で、大地震で地面が隆起することが明らかになっているので、現在の高さまで高潮や津波が到来したということではない」と説明。その上で、「考古学では今回のように大自然が地球に残した爪痕を確認することがあり、今後の災害研究に役立てられることを期待したい」としている。

© 株式会社神奈川新聞社