【動画】巨大こまグルグル 子どもたち歓声 人気者「やっしさん」

子どもたちと一緒に巨大なこまを回す山内さん(中央)=長崎市、稲佐山公園

 「そ~れ、走ってひもば引っ張れ!」-。休日の昼下がり、長崎市の稲佐山公園に山内康志さん(65)=同市江平2丁目=の声が響く。直径80センチの自作こま「やっし独楽(ごま)」の重さは15キログラム。山内さんが両手で放ったこまが着地すると、子どもたちは歓声を上げながらひもを引いて走り、回転を付ける。公園を利用する親子連れの間で、さまざまなこまを自在に操る名人「やっしさん」は人気者だ。

 山内さんが同公園でこま回しを始めたのは4年ほど前、孫に教えたことがきっかけだった。100円ショップで買ったこまは30秒しか回らない。どうしたらもっと長く回せるか。幼い頃から探求心旺盛だった山内さんはのめり込んだ。
 マグネットテープを巻き付けて重くすると、12分まで記録は伸びたが「これ以上は無理」。次に目を向けたのが大きさだった。「バケツ(直径30センチ)ぐらいのこまを回したら、びっくりするやろうな」。本業の内装業の腕前を生かし、山内さんはクッションフロアの端材などを使い、限界に挑戦した。直径89センチ重さ19キログラムまで達したが、うまく回転が続かない。結局、現在のサイズに落ち着いた。

大小さまざまなこまが並ぶ、山内さんのこま部屋=長崎市内の自宅

 今は、パフォーマンスを追求中。糸でつながった2本のバチを動かして高く放り上げる中国ごまの腕を磨いている。動画投稿サイト、ユーチューブのチャンネルも開設した。 22日も山内さんは同公園を訪れ、60回以上もやっし独楽を放った。その合間に山内さんは大小のこまの回し方を教えたり、渡した糸の上を移動させる曲ごまを披露したりと大忙し。諫早市立喜々津小3年の小川小百合さん(8)は「あんなに大きなこまを投げるなんて」と驚いた表情。同級生の上原獅恩君(8)は、中国ごまを動かしながら「ゲーム機より長く遊べて楽しい」と声を弾ませた。

やっし独楽を放つ山内康志さん

 「歓声を浴びてすっかりやみつき」という山内さんは、コースターや時計の木枠など、丸くて割れない素材は何でも回せないかと、つい考える。子どもの頃以来、半世紀ぶりに火が付いたこまへの愛情は、当分ぶれそうにない。


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