芥川龍之介の自筆メモ「手帳六」復元 全集には掲載されていない新たな発見部分も

藤沢市に寄贈した成果本を手にする章さん=藤沢市

 筑波大学大学院で芥川龍之介(1892~1927)を研究する中国出身の章瑋(しょうい)さん(32)が、藤沢市文書館(同市朝日町)に保管されていた芥川自筆の「手帳六」を復元し、既刊全集に掲載のない記述部分などの研究成果をまとめた本を19日、市に寄贈した。

 手帳六は、芥川が1921年に中国を視察した際に記したメモ類。芥川の甥の葛巻義敏さんが保管していたが、68年に自宅が火災に遭い、汚損状態になっていた。葛巻さんが亡くなった後、芥川に関する資料を受け継いだ同市在住の親族が1996年、手帳六を含む約3千点を同市文書館に寄贈した。

 章さんは主に芥川の中国視察について研究。手帳六の各ページを撮影し画像修復システムを活用するなどして不鮮明な部分を読み取り、本来のページ順序の通りに復元した。

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