【高校野球神奈川大会】東海大相模、非情な勝負 庄司・谷口バッテリー、最後は「楽しかった」

【横浜―東海大相模】9回無死二塁のピンチで東海大相模の庄司(左)を笑顔で励ます捕手谷口=横浜(番場 一浩写す)

◆東海大相模0-1横浜
 何とか整列してスタンドにあいさつした東海大相模ナイン。だが、その場で崩れ落ち、しばらく動けなかった。0-1の九回サヨナラ負け。本当に差はわずかだったが、非情にも勝負はついた。

 九回、横浜の先頭が右翼線へ鋭い二塁打を放つ。「あれっと思った」とマウンドの庄司。三振の後、再び打球は快音を残し右翼へ。ライナーでアウトとしたが「球が浮いてきていた」(庄司)。

 勝負の場面は続く2死二塁、1ストライクからの2球目。外角を狙ったスライダーがやや内側に入った。ライナーの右前打を求が必死に返球したが、捕手谷口のタッチはわずかに届かなかった。

 「失投」と庄司は言う。一方、谷口は「少し中にきたが失投なんかじゃない、ナイスボール。自分が勝負を急いでしまった」。結果から言えば「失投」。それでも、結果だけで語るのはふさわしくない、庄司のピッチングだった。

 背番号1をつける求の調子が上がらない中で、相模のマウンドを守ってきた背番号10。今大会3試合、計24イニングを投げて失点は1だ。だから谷口は「庄司が打たれたら仕方がない」と言う。「春からエースがいない中で、あいつの力でここまでこれた。一緒に甲子園に行きたかった」。試合後は「胸を張っていこう」と庄司に声をかけた。

 ここで勝つための3年間だった。「負けてしまったので悔しい」。庄司も、谷口も、ほぼ全ての質問の答えは同じだ。それでも谷口は最後に「楽しかったです」。そして庄司も「3年にありがとうと言いたい」。

 3年ぶりの大観衆の横浜スタジアム。この日の相模を敗者とみた観客は、いなかったはずだ。

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