「絶対助ける」士気高く トルコ大地震 現地に派遣 上越消防署特別救助隊・岡田俊介副隊長 惨状や活動など市長報告

 

JDRチームによるカフラマンマラシュでの捜索救助活動の様子。多くの建物が倒壊し、厳しい寒さや余震が続く中で活動を行った(JICA提供)

トルコ南東部で6日に発生した大地震の被災地に、国際消防救助隊の一員として派遣された上越消防署特別救助隊の岡田俊介副隊長(41)が21日、管理者の中川幹太上越市長に活動報告を行った。岡田副隊長は現地の様子を振り返り、過酷な状況が続く被災地への支援を望んだ。

21日に上越市役所で行われた報告会。岡田副隊長(右)が中川市長に、過酷な環境下での救助活動などについて語った

 今回の大地震では多数の建物が崩壊するなど甚大な被害が出ている。外務省によると、17日時点で3万6187人が死亡、10万8068人が負傷したという。
 日本はトルコ政府からの要請を受け、国際緊急援助隊・救助チームの派遣を決定。岡田副隊長を含む消防、警察、海上保安庁、外務省、JICAなどからなる国際救急援助隊救助(JDR)チーム74人が7日までに出国し、9日から14日までトルコ南部のカフラマンマラシュで捜索救助活動を行い、15日に帰国した。期間中に6人の要救助者を救出(いずれも死亡確認)、生存者1人の診察を行った。
 報告の中で岡田副隊長は、夜は氷点下の寒さとなり、2、3時間の睡眠で活動に従事。建物の多くは、支柱が壊れて垂直に崩れる「パンケーキクラッシュ」のため、天井や床が幾層にも重なり、作業を阻んだことなどを振り返った。要救助者についても「早朝の地震でベッドなどで眠ったまま、崩壊に巻き込まれた人が多かった。これ以上は言えない」と言葉が途切れた。
 一方で、日本チームは高度な資機材を生かして活動し、自身も東日本大震災で派遣された経験から「絶対に助ける」と最後までチーム全体で士気が高かったことや、多くの人から「ジャパン・サンキュー」と感謝されたことを話した。その上で「まだ苦しんでいる人が多いので、支援をしてほしい」とつないだ。
 中川市長は「非常に大変で、悲しみもあったと思う。この活動を糧に、この地域でも活躍してくれることを願う」、池田聡上越地域消防局長は「けが、事故なく帰ってくれて安堵(あんど)した。経験を地域災害でも生かし、他の隊員とも共有してほしい」とねぎらった。

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