免疫治療薬併用の肺がん臨床試験で死亡率7.4%、中止決定

 国立がん研究センターなどが28日、希望する肺がん患者に行っていた免疫治療薬2種類を併用する臨床試験で、治療との因果関係が否定できない死亡例が11人におよび想定を超えたとして、臨床試験を中止したと発表した。

「オプジーボ」と「ヤーボイ」を併用する臨床試験

 今回中止されたのは、進行・再発の非小細胞肺がん患者に対し免疫治療薬「オプジーボ」と「ヤーボイ」を併用する臨床試験。2021年から開始されており、全国59箇所の医療機関で実施していた。これまでに295人が参加し、実際に2剤の併用療法を受けたのは148人(二重盲検のため半数は比較群として別の免疫治療薬を処方)。このうち11人(7.4%)の患者が、治療開始8〜391日後までに死亡、中止の目安としていた5%を超えてしまった。11人の死因は薬物由来の肺炎やサイトカイン放出症候群などで、投与の影響を否定できず「治療関連死」と判断された。

 中止を会見で発表した研究代表者の岡本勇 九州大教授は、「通常、国内で行われる臨床試験における治療関連死の割合は1〜2%であり、今回の死亡率は非常に高い」と述べた。試験参加者には今後、ヤーボイについては単独での処方ができないため、オプジーボのみの服用を継続するよう勧めるという。

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