【12日】核のごみ調査受け入れ請願を採択 対馬市議会

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定の第1段階となる文献調査を巡り、長崎県対馬市議会(定数19)は12日開会した定例会本会議で、調査受け入れ促進を求める建設4団体の請願を賛成多数で採択した。賛否の内訳は賛成10人、反対8人。反対請願6件は賛成8人、反対10人で不採択とした。調査受け入れの判断をする比田勝尚喜市長は「(27日までの)今議会中に私としての意見は発表したい」と述べた。
 文献調査を巡っては、賛否などの立場から市内の11団体が6月、計8件の請願を市議会に提出。このうち建設4団体は急速に進む人口減少や経済衰退を背景に調査受け入れ促進を求め、市商工会は議論検討を市議会に要望した。一部漁協や市民団体、水産団体などは調査受け入れによる風評被害や処分場の安全性を懸念し、反対を訴えていた。
 市議会は6月、議長を除く議員18人による特別委員会を設置。特別委では請願提出団体の代表者や、有識者らを招いて審査した。8月16日の特別委採決では建設団体と市商工会の請願2件を採択し、反対請願6件はいずれも不採択としていた。
 文献調査の期間は2年程度。資料を基に地質や活断層などを確認する。受け入れた自治体などには国が最大20億円を交付する。2020年11月に北海道寿都町と神恵内村で始まって以来、調査を受け入れた自治体はない。対馬市では以前にも最終処分場誘致の議論が表面化したが、市議会は07年に誘致反対を決議していた。

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