「基地負担の格差を永久化、固定化するものだ」 玉城デニー知事、国の工事強行を非難 県議会で所信表明

2024年度の県政運営の所信を表明する玉城デニー知事=14日、沖縄県議会

 沖縄県の玉城デニー知事は14日午前に開会した県議会2月定例会で、2024年度の県政運営に向けた所信を表明した。国が代執行により工事を強行した名護市辺野古の新基地建設問題は「沖縄の過重な基地負担の格差を永久化、固定化するものだ」と強く非難し、建設阻止に向け全身全霊で取り組むと決意を述べた。

 安全保障関連3文書に関連し南西諸島で進む自衛隊配備増強や、防衛体制強化の一環で政府が公共インフラを整備する「特定利用空港・港湾」施策に懸念を表明。自衛隊配備は米軍基地の整理縮小と同時に進めるべきだと重ねて訴えた。

 24年度に課を新設する地域外交への意欲を強調した。アジア、太平洋地域の安全保障環境は厳しさを増していると認めた上で、平和と安定が県民の生命を守り、沖縄の振興・発展に極めて重要だと指摘した。

 一方、地域外交は民間企業の輸出促進や海外展開の後押しにより自立経済の構築にも寄与すると言及。国内外への平和発信強化にも地域外交を通し取り組む考えを示した。

 また、25年の戦後80年の節目に向け、県平和祈念資料館のリニューアルや第32軍司令部壕の保存・公開を推進するとした。

 過重な基地負担の軽減に向け、ワシントン駐在による情報収集と発信をさらに強化し、国連関係者ら影響力のある人物を沖縄に招く考えも表明。知事自身も「適切な時期に訪米し、基地問題の実情を訴えたい」と述べた。

 県経済では、新型コロナ禍からの持ち直しの動きがある一方、長引く物価上昇による家計や事業者への負担が重くのしかかっているとし、対策に取り組む方針を明記。県民所得向上に向け県内企業の稼ぐ力を強化し、従業員の賃上げにつなげると意欲を示した。

 県政の最重要課題の一つには引き続き子どもの貧困対策を位置付けた。中高校生の通学費支援や給付型奨学金の充実、学校給食費の無償化など子ども施策を充実させると強調した。

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