遺体の運搬に使用か、防犯カメラに映った不審車を押収 那須の遺棄事件で栃木県警

2人の焼損遺体が見つかった遺棄現場=17日午後5時、那須町伊王野

 栃木県那須町伊王野の河川敷で男女2人の焼損遺体が見つかった死体遺棄事件で、県警が現場近くの防犯カメラに映っていたとみられる黒っぽい乗用車を押収していたことが19日、捜査関係者への取材で分かった。事件発覚の約3時間前に現場周辺を行き来する様子が防犯カメラで確認されていた。県警は遺体の運搬など事件に使用された可能性もあるとみて捜査。東京都内にいた被害男性が遺体で発見されるまでの経緯などを調べている。

 県警によると、死亡したのは、東京都台東区が本籍地で住所、職業不詳の男性(55)と40~60代の女性。女性の身元は分かっていない。

 16日午前4時過ぎ、遺棄現場から約1.5キロ手前の道路沿いの防犯カメラに、遺棄現場方向へ向かう黒っぽい不審な車が映っていた。30分ほどで戻る様子も確認されている。押収した車は国内で広く流通している乗用車という。

 事件前日の15日午後9時過ぎごろ、東京都内の防犯カメラに男性の姿が映っていたことが判明。同日夜以降に事件に巻き込まれて殺害され、車両で那須町伊王野の河川敷まで運ばれ、遺体を遺棄されたとみられる。

 また捜査関係者によると、17日に出頭した20代の男性は県警の任意の調べに、「殺害には関与していない。他の人と出頭しようとしていた」などと説明したという。県警は複数人の関与を視野に被害男性の交友関係を調べ、関係者らから事情を聴いている。

 男性は東京都台東区を中心に飲食店などを複数店経営していた。店舗の近隣の従業員女性は「店の周辺をいつも自転車で移動していた」と振り返る。営業方法を巡りトラブルがあったという。男性の会社のホームページに掲載された飲食店は19日、いずれも臨時休業だった。

© 株式会社下野新聞社